2011年3月、九州新幹線が鹿児島まで全線開通した。一度乗ってみようと、その年の夏、南九州へ旅をすることになった。往路はちょっと贅沢に「のぞみ」グリーン車だ。姫路・広島・博多・熊本……、車ならば10時間だが、何と3時間45分。早過ぎてちょっと慌ただしい。
霧島で1泊し、翌日は天孫川沿いにある妙見温泉で日帰り入浴をした。天照大神の孫であるニニギノミコトが天降った天皇家発祥(天孫降臨)の地とされる高千穂峰や霧島神宮が近くとは言え、「天孫」を冠する名前はすごい。 開放的な露天で一風呂浴びてから、R223・R10を通って国分に出、更にR220を南下した。桜島には鹿児島市街からフェリーですぐだが、それとは違うコースだ。錦江湾を西に眺め、今なお噴煙上げる桜島もすぐ間近から見ることができた。南麓にある有村溶岩展望所は火山灰や溶岩流の跡が生々しく、なかなかである。左手に海を見ながら、西に2kmほど行った所に目的の温泉はあった。
古里温泉は、県の中心である鹿児島市街からフェリーで対岸の桜島港に渡り、溶岩道路を南東に車で15分ほど行った海沿いにある、言わば鹿児島の離れ座敷といった温泉だ。フェリーは24時間運航で、2人の場合は車\1,500+人\150=\1,650と手頃である。日本四大活火山の一つである桜島の南麓で、“東洋のナポリ”と称される錦江湾を眼下に薩摩半島や大隅半島を一望する絶景の宿がある。週刊文春「今週のBEST10…海を眺めてくつろげる温泉の宿」(2008.8.7付)で全国4位・九州1位で掲載されたそうだ。1軒宿だが、島の北側や付け根付近にも温泉はある。
泉質は、ナトリウム-塩化物泉(弱食塩泉)44℃で、無色。海辺にある名物の「龍神露天」岩風呂は、斜行エレベーターで行くことになるが、確かに期待を裏切らない。鳥居があって樹齢200年の神木に宿る龍神を祀っている……神社のような露天風呂なのだ。自然に溶け込んだ開放的な眺望も抜群である。混浴だが、御神木があるために白い湯浴着を着用し、また予めシャワーで清めてから入浴するのも面白い。
日帰り入浴は可能で、昼食(釜飯)+入浴セットプラン\3,150もある。霧島・鹿児島市内・指宿に宿泊すれば手渡される「湯めぐりパスポート」は利用できるが、人気の露天風呂は別途\1,050の入浴料が必要である。 食事は、錦江湾で水揚げされ鮮度抜群の魚介類・桜島らしいもの・源泉で炊き上げる「龍神釜飯」などがある。 近くの観光は、林芙美子文学碑・有村溶岩展望所・夏は海水浴などがいいだろうか。
夕方、宿泊を予定していた城山公園に向かうため、フェリーで対岸に渡った。船からの眺めは、この桜島と共に生きてきたであろう薩摩人の心を感じさせた。これからまた何度も九州を訪れることになるだろう。
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(桜島)古里温泉へのドライブ
▼ 鹿児島空港IC-九州道-隼人道路-東九州道(またはR223-R10)-
▼ 国分IC-R220(鹿児島湾の東)-桜島の東部-有村溶岩展望所-西で
鹿児島空港ICから所要80分間
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▼ (九州道)鹿児島北ICからは、R3-桜島桟橋-桜島フェリ−15分-桜島港-海沿い溶岩道路-南麓の海沿いで所要50分。鉄道では、(九州新幹線)鹿児島中央駅-市電-桜島フェリ−-桜島港-シャトルバスで50分。
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