left★原文・現代語訳★
〈要約〉
▼十五夜の名月の夜に、宮中で独り宿直して月を眺め
ながら、遥か二千里も離れた江陵に左遷された旧友
の元九はこの月をどのように見ているだろうか、と
思いやった時のことを詠んだ詩である。
〈概要・表現〉
・七言律詩(七字の句×八句)
・押韻→沈・林・心・深・陰
・対句→首聯・頷聯・頸聯・尾聯のうち
頷聯・頸聯が対句となっている
〈鑑賞〉
・八月十五夜、中秋の名月は、唐の都・長安の壮大な
宮殿を煌びやかに照らしていた。その中の翰林院と
いう建物で、白居易は独り宿直をしていた。そして
皓皓と光る月を眺めながら、遥か彼方の江陵に左遷
された旧友の元九のことを思っていた。この同じ月
を親友はどのような心で見ているかと、思いやって
いたのだ。時を告げる鐘の音が響き、夜がしんしん
と更けていく。江陵は都とは違うのだから、やはり
旧友は、自分と同じような月を見ることは出来ない
のではないか、と白居易は思った。
・銀台と金闕、三五と二千、中と外、新月と故人、色
と心、渚宮と浴殿、東面と西頭など、対句が随所で
効果的に用いられ、都長安の情景と友を思う心情が
想像される、古来より評価の高い詩である。
・自分が月を見ていれば、この同じ月を遥か彼方の友
や家族も見ているだろうと思うのも、定型的な発想
の一つで、この詩句は古来日本でも非常に有名で、
『源氏物語』においても、須磨に流された光源氏が
月を眺めて都に残してきた紫上を偲ぶ場面がある。
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right★補足・文法★
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