湯布院温泉 (大分県)   (湯布院IC→R210)

「夢想園」混浴露天風呂

 春3月、また湯めぐりの旅に出た。行き先は、10数年前にも訪れた中部九州の湯布院・黒川・阿蘇・別府である。有名な所ばかりで、少し恥ずかしい。
 「娘子(オトメ)らが 放(ハナ)りの髪を 由布(ユフ)の山 雲なたなびき 家のあたり見む」(娘たちのお下げの髪を結(ユ)う、由布の山に雲よ棚引かないでくれ、家の方を見たいから。『万葉集』巻7-1244)
 ……1日目は、古代から和歌にも詠まれた湯布院である。

 湯布院温泉は、大分県中部で、別府の西に位置する。歌人たちに歌枕として詠まれた豊後富士と呼ばれる由布岳(1,584m)を望む盆地に湯煙が立ち昇る、90数軒の宿から成る大温泉地で、温泉の湧出量は日本第2位を誇る。全国でも箱根と並んでNo1の人気があり、特に女性の旅行客が多いようだ。開湯は今から600年前で、難病に困り果てた一人の僧が、夢枕に立った弘法大師のお告げを受けて従えば、たちどころに病全快したと言う。

 泉質は、単純泉・炭酸水素塩泉45〜98℃で、無色(青白濁色の所もある)・無臭(微硫黄臭)。源泉100%掛け流しで、由布岳の眺めが良い露天風呂のある宿が多い。特に眺望が良いのは、「夢想園」「彩岳館」「庄屋の館」「山水館」「七色の風」などだろうか。日帰り入浴はほとんどの宿でOKである。周辺には、別府・塚原・湯平・長湯・長者原・筋湯・壁湯・川底・天ヶ瀬など、良質の温泉が多い。


 近くには、アフリカンサファリ・(鶴見岳)別府ロープウェイ・乗馬・登山・牧場・九酔渓・九重“夢”大吊橋などがある。露天風呂から、白く冠雪した由布岳の雄大な姿を堪能し、塚原の強烈な湯で肌がピリピリする思いをした後、やまなみハイウェイを南下した。しばらくして雪道を走っていると、久住連山が勇姿を見せ始めた。やはり凄い。瀬の本まで来れば、2日目に泊まる黒川はもうすぐそこであった。


湯布院温泉へのドライブ
▼ 九州道-小倉東IC-福岡IC-鳥栖JCT-大分道-日田IC-九重IC-
▼ 湯布院IC-R210を南-やまなみハイウェイを東で
小倉東ICより所要2時間半
▼ 九州道-小倉東IC-東九州道-R10-宇佐別府道-日出JCT-大分道-由布院IC-R210-やまなみハイウェイでは所要3時間、別府ICからはやまなみハイウェイを西。鉄道ではJR博多駅-久大線特急2時間10分-湯布院駅。大分空港・別府港からは高速バス1時間。


湯布院市街

伽藍岳(塚原温泉より)

やまなみハイウェイ(由布岳付近)
温泉施設 塚原温泉火口之泉 (ゆふいん)庄屋の館
下ん湯(共同浴場) (ゆふいん)七色の風 (柚富の里)彩岳館 (ゆふいん)山水館 (山のホテル)夢想園
塚原温泉 火口之泉

【所在】 由布市塚原
【電話】 0977-85-4101
【時間】 9:00-18:00。無休(但し、冬の露天はなし)。
【料金】 【入浴】\500。【宿泊】なし。
【泉質】 強酸性-含硫黄-鉄-アルミニウム-カルシウム-硫酸塩泉60℃。自然湧出100%掛け流し。酸性の強さ(PH1.4)は秋田の玉川温泉に次いで2番目。湯はやや青緑色透明・強烈なピリピリ感(皮膚が非常にしみて長く入れない→三つ星の理由)の特徴があり、アトピーなどに効能がある。
【施設】 墳気を上げる伽藍岳の南西腹(標高760m)にある、山中の秘湯で「山の湯」とも呼ぶ。平安時代に源為朝が発見した湯治場で、近くに坊主地獄がある。脱衣所・木造共同内湯と、奥に露天岩風呂(別途\600・冬〜春は低湯温のため不可)・家族風呂(\2,000/時)がある。冬は内湯しか入れず、入浴の際の痛さや風情の関係で、評価はいま一つ。周辺にある民間の湯処の方が柔らかくて良いだろう。P20台。アクセスは、別府IC-R500を北西-アフリカンサファリ手前-県道を南西、湯布院ICからは湯布院駅-県道を北東アフリカンサファリ方面で8km。
【評価】 ★★★☆☆(2010.03)露天に入れなかったのが残念だ。
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湯が張られていない露天風呂

伽藍岳中腹の火口(温泉から5分ほど登った所にある)
ゆふいん 庄屋の館

一晩で冠雪した由布岳(3月)
【所在】 由布市湯布院町川上444-3
【電話】 0977-85-3105
【時間】 10:00-15:30。
【料金】 【入浴】\700。【宿泊】\27,300-(休前日\5,000増)。
【泉質】 (アルカリ性)ナトリウム-塩化物-硫酸塩泉100℃。本物の源泉100℃が地下700mより吹き上げている。湯は、掛け流し・非循環・非加温・非加水・非消毒、ナトリウムイオンが多く、唯一のコバルトブルー色(メタケイ酸が多いから)・微硫黄臭で、サラリとして、温まり、美肌効果のある泉質。
【施設】 湯布院駅から北東のアフリカン-サファリや由布岳方面に向かう途中の高台にある、和風1棟建て離れの宿(20棟・P100台)。開業は1995年。由布岳を望む5,000坪の敷地内にあり、本館は明治22年に大豪族の館を移築したもので、宿泊各棟は露天風呂や石庭風呂が付いている。宿泊料金はやや高い(GWは\40,000・年末年始は\55,000)のか、比較的空いていた。食事は、四季の本格懐石料理(魚はイケスの活魚を使用)。昼食入浴セット\3,000もある。由布岳の眺めが抜群で100人収容の開放感いっぱいの大露天岩風呂・10名用家族露天(貸切可)3・客室露天もしくは内風呂・50人用足湯などがある。送迎車あり。
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湯布院で唯一コバルトブルーの露天から望む由布岳

【評価】 ★★★★☆(2010.03)泉質・眺望が抜群の露天風呂は、5・6人の学生グループも楽しんでいた。
下ん湯(共同浴場)

金鱗湖畔の「下ん湯」(向こうの白煙は「庄屋の館」)
【所在】 由布市川上1585
【電話】 0977-84-3111
【時間】 10:00-20:00。無休。
【料金】 【入浴】\200。【宿泊】なし。
【泉質】 単純泉69℃。湯は、無色・熱め。
【施設】 湯布院駅より東の「七色の風(旧・湯布院ハイツ)」の北西に位置する「金鱗湖」湖畔の北側にある、茅葺き屋根が特徴である小屋の日帰り施設。棚だけで目隠しもない脱衣所の所に、造りが開放的なので観光客の目がやや気になるような、長方形の熱めの内湯1つ・微温の露天風呂1つがある。混浴で、湖の眺めも素晴らしい。P3台。
【評価】 ★★★☆☆
ゆふいん 七色の風

湯布院盆地と「七色の風」(狭霧台展望より)
【所在】 由布市川上
【電話】 0977-84-3333
【時間】 12:00-17:00。
【料金】 【入浴】\500。【宿泊】\13,000-。
【泉質】 単純泉(ナトリウム-塩化物泉)98℃。湯は、無色・無臭。
【施設】 湯布院駅の南を走るやまなみハイウェイを東に行った途中の高台にある(三角屋根)合掌造りの宿(50室・P75台)。旧「湯布院ハイツ(公共の宿)」のことで、「下ん湯」のやや南東にある。大ガラス張り洋風大浴場・サウナ・泡風呂・由布岳の眺めが抜群で100人入浴できる大きな露天岩風呂・家族岩風呂2つがある。テニス可・一人旅\15,000(8畳)。食事は、牛・地鶏・野菜を鍬の上で焼いたアツアツを特製タレで食べる名物料理など。アクセスは、別府ICより西・湯布院ICより東のやまなみハイウェイ沿い。
【評価】 ★★★☆☆
柚富の里 彩岳館

【所在】 由布市湯布院町川上2378-1
【電話】 0977-44-5000
【時間】 10:00-16:00。無休。
【料金】 【入浴】\600。【宿泊】\16,800-。
【泉質】 単純泉(アルカリ性低張性高温泉)51℃・重曹泉(ナトリウム-炭酸水素塩-塩化物泉)45℃。敷地内に源泉が2つあり、湧出200g/分・源泉100%掛け流し。湯は、無色・無臭・美肌効果。
【施設】 湯布院駅から南東1kmの街を見下ろす高台にあり、由布岳の壮大な景観が望める自然豊かな宿(24室・P32台)。由布岳の眺めは夢想園と並んで一番だろう。文化の香りに気を配っているようで、館内には、ミニギャラリー・ライブラリー・アートなどがふんだんにある。眺めが良いガラス張り洋風内湯石風呂・正面に由布岳の刻々と変わる絶景が眺められる開放的な大露天岩風呂(一日中見ていても見飽きない)・打たせ湯・家族露天(酒樽風呂・岩風呂)。食事は、会席・手作り豆腐・関アジ・豊後牛しゃぶしゃぶなど。昼食入浴セットプランも\2,100からある。
【評価】 ★★★★★(2010.03)次回はここに宿泊しようと思う。
正面に由布岳を望む露天風呂 ⇒
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絶景のレストラン

ゆふいん 山水館
【所在】 由布市湯布院町川南108-1
【電話】 0977-84-2101
【時間】 12:00-15:00。無休。
【料金】 【入浴】\500。【宿泊】\15,900-。休前日\2,100増。
【泉質】 単純泉65-70℃・重曹(ナトリウム-炭酸水素塩-塩化物)泉45℃。湯は、無色・無臭。
【施設】 湯布院駅の東にある由布岳の眺望が良い宿(和39・洋39・和洋5・特2室・P44台)。内湯・正面に由布岳の大パノラマ絶景が見渡せる開放的な岩造り大露天風呂がある。昼食入浴セットプランも\2,100からある。
【評価】 ★★★★★
イメージ(「彩岳館」貸切露天風呂) ⇒
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山のホテル 夢想園

【所在】 由布市湯布院町川南1251-1
【電話】 0977-84-2171
【時間】 10:00-15:00。無休。
【料金】 【入浴】\700。【宿泊】\18,000-。
【泉質】 アルカリ性単純温泉62℃,75℃(混合泉)。湯は、無色・無臭・サラリ感。
【施設】 湯布院駅の南西に車で7分ほどの高台にある宿(34室)。客室や朝食処の大正ロマン風展望喫茶からも由布岳が眺められ、宿泊料金が湯布院では高めの設定となっている離れの部屋プランもあるようだ。私が泊まった大正ロマン風の部屋は、真下に桜の木も見え、なかなかであった。夕食も掘り炬燵で温かく落ち着いた感じであった。正面に由布院盆地に聳える由布岳を一望できる、100畳または150畳の屋根付き巨岩造り大露天風呂3・家族露天風呂2・家族内風呂2(無料)・洋風内湯石風呂(小さな庭)2など9つの風呂がある。大露天には山頭火の俳文と俳句が書かれた額が掲げられ、家族露天は他の宿の普通の露天に見劣りしないほどの大きさである。P60台。
【評価】 ★★★★★(2010.03)いかにも自然な感じの大きな露天風呂からの由布岳の眺めは最高である。

山頭火の俳文と俳句(露天風呂の入口上部に掲げられている)
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大正風のレストラン

混浴露天風呂

貸切露天風呂
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