宇奈月温泉 (富山県)   (黒部IC→県道)

(トロッコ列車)黒部峡谷鉄道「宇奈月駅」周辺

 京阪神から名神・北陸道に乗り、日本海に向かう。2時間ちょっとで行く(敦賀)杉津サービスエリアは、海が青々と美しく見え、休憩に好都合だ。内灘海岸も過ぎ、金沢は3時間くらいで通過する。(富山)砺波平野の整然とした田園風景(散居村)を左手に、そして頂に冠雪した立山連峰を右手に見ているうちに、黒部ICで高速を降りることになる。出発してから4時間くらいか。今回の目的地は、宇奈月と黒部峡谷だ。山々が高く聳える南東に向け、県道を走ると、小さな街が開けてくる。

 宇奈月温泉は、富山県北東部の北アルプス立山連峰の黒部峡谷入口にある温泉地だ。駅近くを流れる渓流に沿うように、十何軒かの宿がある温泉街で、黒部峡谷に行くトロッコ列車の出発点でもある。黒部川における電源開発の際(大正12年)に湧き出た7km上流(南東)の黒薙温泉(自噴87-90℃)より引湯しており、駅前にはシンボルの温泉噴水(60℃)が湯煙を上げている。

 湧出3000d/日と湯量は豊富だ。泉質は、弱アルカリ単純泉87-90℃、無色の柔らかい肌触りで、神経痛・関節痛・疲労回復・美肌などに効能がある。日帰り入浴は、公共の「温泉館」「とちの湯」はもちろん、ほとんどの宿で可能である。


 食事は、新鮮な日本海の幸や山の恵みが美味だ。だが、やはり温泉が最高だろう。宿に着いて、お茶菓子を食べたら、先ず入浴、そして食事の後も、またお風呂、というのがパターンだ。黒部川に面して建つ宿の露天風呂は、正面が渓流の清々しい流れと山の斜面の緑であり、この眺望こそが一番の御馳走と言える。またこの時のビールの美味いこと! これが忘れられず、湯めぐりをしているのかも知れない。

 この宇奈月で最も人気ある観光は、大自然の風景が感動的な黒部峡谷に行くトロッコ列車である。爽やかな風に吹かれながら、ガタコトと揺られて渓谷を眺めて行くのは、何と開放的でノンビリとした気分になれることか。だが、休日は多くの観光客で大変である。駅前駐車場は大型観光バスが何十台もズラリと並ぶほどであり、往復乗車券も2日前までに予約購入しておく必要がある。とにかくギッシリと満員なのだ。
 この黒部峡谷を縫って走る線路に沿って、温泉が幾つも点在している。野趣万点で訪れるのはよいが、予想外に時間を要し、丸1日は覚悟しておくべきだろう。

 2日目、黒部峡谷から宇奈月に戻ったのは、もう日が暮れかかるころであった。1泊2日の旅に幕を閉じ、家路へと高速を西に急いだ。FMからはビートルズ「ビコーズ」が流れていた。「ミッシェル」「ガール」なども良いが、この懐かしいピアノの調べが哀愁を帯びていて、特に好きだ。京都で高速を降りたのは、22時半頃だったろうか。


 立山連峰・黒部の清流・温泉に惹かれて、再びこの地を訪れたは3年後だった。異なる2つの宿に2泊し、眺めも味もそれぞれに堪能し、トロッコ列車も以前は行先が鐘釣だったが、今回は終点の欅平まで足を延ばした。晴天に恵まれ、汗だくになって出た名剣温泉では、よく冷えた秘湯ビールと山菜ざるそばの何とも言えず最高だったことか。
 しかし、今回も黒薙と祖母谷には行けなかった。もう一度来ることになるのだろう。今度はどの宿に泊まろうか、と今から楽しみである。北関東・北陸・奥飛騨の旅は、深夜11時の帰着をもって終わった。

宇奈月温泉へのドライブ
▼ 京滋バイパス-名神高速1時間半-米原JCT-北陸道2時間半-
▼ 黒部IC-県道を南東(黒部方面)に15kmで
黒部ICより所要20分(京阪神より4時間半)
▼ 鉄道では、JR富山駅-富山地方鉄道-宇奈月温泉駅-徒歩数分。

富山地方鉄道「宇奈月駅」駅前の噴泉

(トロッコ列車)黒部峡谷鉄道「宇奈月駅」

宇奈月駅近くの鉄橋

駅ポスターより

宇奈月駅近くの鉄橋A

宇奈月駅を出たトロッコ列車(ホテル黒部より)

宇奈月ダム
温泉施設 延対寺荘 宇奈月 延楽 宇奈月ニューオータニホテル ホテル黒部
(湖畔の湯)とちの湯(公衆浴場)
延対寺荘

【所在】 黒部市宇奈月温泉53
【電話】 0765-62-1234
【時間】 12:00-16:00。
【料金】 【入浴】\1,000。【宿泊】\12,600-。
【泉質】 微弱アルカリ性単純泉98℃(黒薙→60℃)。湯は、熱交換機導入のため混じり気なしの天然温泉100%(=非加水・最小限の循環濾過・消毒)、非加温・無色(微白濁)・無臭で、ツルスベ感(メタケイ酸を多く含有)・微気泡もあり、宇奈月で一番の泉質である。
【施設】 清流黒部川を見下ろす極めて眺望が良い所に立地し、源泉100%(非加水・非加温)の湯が楽しめる白亜のホテル(82室)。黒部川に面して「ニューオータニ」「延楽」とともに3つが並んで建つ、駅の北西部に位置する宿の一つ。「宇奈月」No1の歴史を持ち、川に架かる橋などから見える外観は絵のように美しい。風光明媚な日本の宿で、昭和天皇がご宿泊され、他にも多くの政治家や与謝野晶子・川端康成・竹久夢二らの文人墨客も愛し、米国カーター大統領も家族と共に滞在したという老舗(明治33年創業)である。「プロが選ぶ日本のホテル・旅館100選」において、県下で唯一料理部門で入賞したともいう。黒部川断崖に張り出す展望ロビーからの大自然のパノラマも素晴らしい。施設は、眺望が良い洋風半円形ガラス張り石造り展望大浴場2(男女別)・開放的で自然との一体感があり眺望や風情も晴らしい岩造り露天風呂1つ(男女入替)がある。浴槽が一つだけでサウナもない大浴場や、一つしかない男女入替の露天風呂も、やや期待外れで時間を持て余しそうだ。ロビーも、GW時なのでレストランとするためか、所謂ロビーとして開放されていなかったようだ。P50台(窮屈で車のキーもフロントに預ける)。インターネットの書き込みにあったように、料理を出す順番が違ったり、待たされて冷めた揚げ物が出されたり、従業員の対応がやや不十分であったりといった感じが少しした。
【評価】 ★★★★☆(2009.5)ちょっと伝統と格式の上に胡座をかいているようだ、と言うのは言い過ぎだろうか。

.




宇奈月 延楽

【所在】 黒部市宇奈月温泉347-1
【電話】 0765-62-1211
【時間】 ?:00-?:00。
【料金】 【入浴】\1,050。【宿泊】\18,900-。
【泉質】 弱アルカリ単純泉(低張性高温泉)90℃。湯は、衛生保持の為に、加水・加温(源泉掛け流しではない)・飲泉可(浴槽の蛇口ではない)。
【施設】 富山県を代表する宇奈月温泉の清流沿いの露天風呂を楽しめる2番目に古い老舗旅館(61室)。「延対寺荘」のすぐ東の峡谷沿い断崖に建っていて、玄関が8階となっている。客室はすべて道路と反対側の黒部川の清流に面していて、11畳の落ち着いた和室がメインである。温泉は、洋風ガラス張り石造り大浴場(山肌と清流の眺望)・黒部渓谷を一望できる絶景露天3(岩風呂と檜風呂)がある。食事は素材も良くコクと旨味があって、活きた料理に感じる。日帰りグルメプランもある。P61台。
【評価】 ★★★★☆(2012.8)日帰りでゆったりできそうなのは「延楽」と「ホテル黒部」かと、インターネットの書き込みにあったが、まさに頷ける所である。総合的には「宇奈月」で1・2番だろうか。

.



宇奈月ニューオータニホテル

【所在】 黒部市宇奈月温泉352-7
【電話】 0765-62-1041
【時間】 11:15-16:00。
【料金】 【入浴】\1,000.【宿泊】\12,600-。
【泉質】 弱アルカリ単純泉90℃。
【施設】 対岸を走るトロッコ電車と赤い橋を眺められる、白っぽい外観の和風の宿(129室)。特にロビーからの眺望は抜群である。駅の北西で「延対寺荘」の東の方に位置し、川に架かる赤い橋や宇奈月温泉駅などどこからも目立つ美しい宿である。日中は、日帰り入浴・エステ・ランチも営業しており、気軽に利用できる。施設は、宇奈月随一の広さの洋風ガラス張り石造り展望大浴場(幅20m・41℃と42℃と43℃の三段階の湯が楽しめる)・サウナ・ジャグジー(30℃位で心地良い)・屋根付き石造り天空露天(黒部川と峡谷の眺め)がある。ホテルランチ\1,000〜の食事客は、プラス\500で日帰り入浴(タオル付き)可。P150台(ある程度ゆったりしている)。
【評価】 ★★★★☆(2009.5)立地・規模・設備・対応など総合的には宇奈月で1・2番だろうか。

.



ホテル黒部

【所在】 黒部市宇奈月温泉7
【電話】 0765-62-1331
【時間】 12:00-16:00。
【料金】 【入浴】\1,050。【宿泊】\13,000-。
【泉質】 弱アルカリ単純泉90℃。湯は加水(湯温調整)・循環濾過。
【施設】 黒部峡谷の高台に建ち、対岸を走るトロッコ電車と赤い橋や宇奈月ダムを眺められる唯一の宿(43室)。映画「釣りバカ日誌」ロケの宿にもなり、四季折々の峡谷の景観は宇奈月随一との評判もあるようだ。宇奈月温泉駅より南東に徒歩10分と、温泉街のやや奥に立地。峡谷の大自然の眺望が良い斬新な洋風ガラス張り石造り展望大浴場(数十人入浴可)・緑に囲まれた六角形屋根付き石造り露天風呂(黒部峡谷の対岸を走るトロッコ列車の眺め)がある。桜の季節の男性露天は最高だろう。P60台。
【評価】 ★★★★☆(2012.8)眺望が素晴らしいロビー側に対し、玄関は山の斜面に面した中規模ホテルで、駐車場は幾分やや狭い。テレビ局の元アナウンサーだったという美人の若おかみは健気なほど仕事に一生懸命で、仲居さんたちも明るい笑顔でトロッコ列車に手を振っているのが印象に残った。

.



(湖畔の湯)とちの湯(公衆浴場)

【所在】 黒部市宇奈月温泉大尾6215
【電話】 0765-62-1122
【時間】 9:00-18:00。営業4月下旬-12月上旬。
【料金】 【入浴】\500。【宿泊】なし。
【泉質】 アルカリ単純泉。泉源は、黒部川上流の黒薙。
【施設】 宇奈月温泉街から南に車で10分(2.5km)ほど行った、宇奈月湖のほとりにある木造平屋建ての温泉施設(尾の沼体験交流施設)。2002/4に完成。駐車場から300mほど歩いた所ににある。施設は、小さなガラス張りタイル造り内湯の他に、湖に面して開放的な大岩露天風呂がある。木々の緑を映す湖や、猫又山などの山々の大自然、峡谷を走るトロッコ電車など、眺めは最高で抜群である。軽食処では天麩羅うどん\600などがある。P30台。
【評価】 ★★★★★(2009.5)これほどの眺望とは予想以上であった。

.



京滋バイパス ⇒ 瀬田東JCT ⇒ 名神高速 ⇒ 栗東(1時間) ⇒ 米原JCT(1時間半) ⇒ 北陸道 ⇒ 敦賀(2時間) ⇒ 金沢(3時間) ⇒ 富山(3時間半) ⇒ 黒部IC(4時間) ⇒ 県道 ⇒ 宇奈月温泉(4時間半〜5時間)