left★原文・現代語訳★
【三】<同じ心で対座していたい人もいる>
同じ心にむかはまほしく思はん人の、つれづれにて、
「いましばし、今日は心閑(しづか)に」など言はん
は、この限りにはあらざるべし。
=(だが、自分と)気心が合って対座していたいと思う
ような人が、所在ない様子で、「もう暫く、今日は
心静かに(一緒に語り合いましょう)」などと言う
ような場合は、この限りではないだろう。
阮籍が青き眼、誰もあるべきことなり。
=(気に入った客には青い目を向け、嫌いな相手には
白い目を向けた)「阮籍が青き眼」(という中国の
故事と同じような事)は、誰にもあるはずのことで
ある。
▼(段落まとめ)
自分と気心が合って対座していたいと思う人もいて、
用事がない訪問は良くないという限りではない。
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right★補足・文法★
☆用事がない訪問は良くない事であり、長く対座して
いると様々な支障があって無益である、ということ
は当てはまらない。
→筆者の中には、孤独を好む心と、人を恋しく思う
気持ちと、二つが同居しているのである
※阮籍=(中国晋代の)竹林の七賢の一人。気に入った
客には青い目を向け、嫌いな客には白い眼を
向けたと言う(『晋書』列伝・十九)
→「白眼視」の語源となる
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