left★板書(+補足)★
不来方の お城の草に 寝ころびて
空に吸はれし
<十五の心>
=不来方のお城(と呼ばれる盛岡城の城跡)の
草の上に寝ころんで(空を見ていたことがあった)
(遥かな大)空に吸い込まれ(夢を託し)た
十五歳の頃の心(が懐かしく思い出されること)だ
〈出典〉
明治43年(1910)『スバル』11月号に初出
「秋のなかばに歌へる」の題で発表した110首中の
1首(作者24歳)
同年の第一歌集『一握の砂』所収、中学時代の回想を
主とする「煙」101首中の「一」の第八首
〈主題〉(感動の中心・心情)
(大空を眺めて抱いた、中学3年の頃の)
<夢多き屈託ない少年期の心を懐かしむ>詠嘆の思い
(と、いつしか無心になってゆく現在の心境)
〈鑑賞〉(補足・背景・感想)
・困難な貧窮生活だった当時の啄木は、希望に満ちた
少年時代をのんびりと懐かしく追憶して歌うことで
一時の心の安らぎを得たのだろう。
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right★発問☆解説ノート★
・不来方=(岩手県)盛岡城の別名
南部藩20万石の城址。慶長3年(1598)着工
現在の盛岡城跡公園。盛岡中学から歩いて10分
・吸は()れ(受身)し(過去)→(夢を)託した
・十五の心=中学3年の頃の夢多き心 (→回想)
→一生で最も希望に溢れ大空に託した少年の頃の夢
☆(表現)特色
@体言止め(→二度と戻らないという余情・詠嘆)
A通俗的・平易な口語の表現(→柔らかい)
B三行書き短歌(内容の序破急を明確に示す)
→友人の土岐哀果の「NAKIWARAI」の形式に
ヒントを得る
(現実生括を、自由なリズムと口語的発想で定着
させるのに効果的
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