left★板書(+補足)★
<春の鳥 な鳴きそ鳴きそ>| あかあかと
外の面の草に 日の入る夕
=春の鳥(よ)、鳴くな、鳴かないでくれ。真っ赤に
明るく、窓の外の草原に夕日が(照り映えて)射し
ている(物悲しい春の)夕暮れ(に)。
(それでなくても物悲しい春の夕暮れに、鳴き声を
聞いたら、更に切ない思いになるから)
〈出典〉(…初出)
明治41年(1908)7月、鴎外の家で開かれた歌会
での作、「戸」という題で詠む(作者23歳)。
雑誌『スバル』(明42)では第二句が「な鳴きそな
鳴きそ」と掲載。第一歌集『桐の花』(大2)冒頭歌
〈主題〉(感動の中心・心情)
(夕日が照り映える)窓の外の風景を見ているだけで
物悲しいのに、鳴かないでという<青春の感傷>
(耽美的でロマンチックな気分・哀愁)
〈鑑賞〉(感想・背景・補足)
・作者を感傷的な気分に誘う実際の風景は、夕映えを
描いたフランス印象派の西洋画のイメージがある
・感傷的な気分に誘う視覚的な自然描写の下の句に、
聴覚的な甘い哀愁を表出する上の句、という構成に
なっている
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right★発問☆解説ノート★
・春の鳥→美しい声→感傷(ロマンの薫る語)
・な(禁止・副詞)鳴き()そ(禁止・終助詞)
→小刻みな同音の繰り返し→鳴き声と青春の切なさ
・あかあか→同母音の反復→聴覚と視覚が交錯して、
春のもの憂い気分(青春の感傷)がそそられる
(色彩)赤=色彩の赤、明=光、あか=色と光の両方
・外(と)の面(も)=窓の外側、戸外(面=方角)
・表現の特色→二句切れ・反復・体言止め(倒置法)
・春の情感を詠んだのであって、写実的な歌ではなく
詳細な描写はない。白秋らしい浪漫主義的な哀感と
色彩感がある歌だ
・夕映え=夕日の光を受けて物が美しく見えること。
夕日に照り輝き鮮やかに美しく映えること(姿)。
・哀愁=寂しく物悲しい気持ち・ペーソス
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