left★原文・現代語訳★
【四】世の男みんなが魅せられたかぐや姫
翁、竹取ること久しくなりぬ。勢い猛の者になりにけ
り。
=翁は(黄金の入った)竹を取ることが長く続いた。
(それで)勢いの盛んな(有力)者になってしまった。
この子いと大きになりぬれば、名を三室戸斎部の秋田
を呼びてつけさす。 秋田、なよ竹のかぐや姫とつけ
つ。
=この子がたいそう大きくなったので、名前を三室戸
斎部の秋田を呼んで付けさせる。秋田は、なよ竹の
かぐや姫と名付けた。
このほど三日うちあげ遊ぶ。よろづの遊びをぞしける
。男はうけきらはず呼び集へて、いとかしこく遊ぶ。
=(命名した)この間の三日間、宴会を開いて楽しむ。
(詩歌・管弦・歌舞などの)あらゆる遊びを楽しんだ
のだった。男は誰も彼も受け入れ呼び集めて、たい
そう盛大に(詩歌・管弦・歌舞などの)遊びをする。
世界の男、あてなるもいやしきも、いかでこのかぐや
姫を得てしかな見てしかなと、音に聞きめでて惑ふ。
=世の男たちは、身分が高い者も低い者も、何とかし
てこのかぐや姫を妻にしたいものだ見てみたいもの
だと、噂に聞き心惹かれて思い乱れていた。
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right★補足・文法★
・勢ひ=権勢・勢力
・猛なり=(ナリ形動)勢いが盛んである・勇ましい
・…に(完了「ぬ」連用形)けり(過去)
・三室戸(地名)斎部(氏)の秋田(名)
・なよ竹=(弱竹)細くしなやかな竹、若竹
・つけ(カ行下二段「付く」連用形)つ(完了=…た)
・打ち上ぐ=酒宴を開いて歌い騒ぐ
手や楽器を打ち鳴らして宴会をする
・遊ぶ=(詩歌・管弦・歌舞などをして)楽しむ
楽しい時間を過ごす
・かしこく=盛大に、大いに、非常に
・貴なり=身分が高い・高貴だ・上品だ
・いかで=@(疑問)どうして…か
A(反語)どうして…か(いや…ない)
B(願望)何とかして
・…てしかな=(終助詞・願望)…(し)たいものだ
・愛づ=(めづ・下二段)心惹かれる・魅せられる・
賞美する・称賛する・褒める
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