(気に入った記事を保存していたら、次のようなものが出てきた。2年ほど前の朝日新聞夕刊(2009.08.04火曜日)の中に掲載された「よくばり−湯の旅」(右上に縦書き、下に桶と湯煙の絵あり)というものである。)
天城越えに人生重ねて 湯ケ島温泉 (静岡県)
(最初、このような題がやや大きなポイントの横書きで記され、以下に縦書きで湯ケ島温泉についての本文が続く。紙面のほぼ1/4ページ位の量である。プロはどのように書くのだろうか。紀行文の練習も兼ねて、そのまま書き写してみた。横書きではあるが。2011.09)
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どれほど大勢の旅人が、この道を歩んだのだろう。スギやカエデが生い茂る道は、夏だというのにひんやり、薄暗い。 「道がつづら折りになって、いよいよ天城峠に近づいたと思う頃、雨脚が杉の密林を白く染めながら、すさまじい早さで麓から私を追ってきた」。この名文で始まる小説「伊豆の踊子」は、川端康成が19歳のときに伊豆を訪れた体験から生まれた。主人公が踊り子一行と出会う旧天城トンネルは、今も当時の面影を色濃く残す。
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「『伊豆の踊子』は暗く山深い天城からトンネルに入り、温かく明るい河津に抜ける文学。15歳で天涯孤独となった若き日の川端先生が、この旅で初めて人のぬくもりに触れた。旧天城トンネルはその心の象徴なのでは」。湯ヶ島温泉湯本館の主人、土屋晃さん(49)は話す。 湯本館は川端が29歳までの10年間通った。若くて金がない川端を、当時の女将は自分の息子のように面倒をみたという。自分の家のように気ままに滞在し、女中の評判は悪かったというエピソードも残る。自らを「寂しがりやの意固地」と語ったと伝わる川端が素顔をさらけ出せたのも、湯と女将のぬくもりに心解いたからに違いない。
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一方、松本清張の小説「天城越え」は明るい下田から天城へと、「伊豆の踊子」とは逆ルートをたどる。主人公は天城峠で無邪気な人生と決別した。出会いがあり、そして別れがある。今この時代、全長445.5bの長く暗いトンネルの先に待ち受けるものは、何だろうか。 (ライター 角田麻子)
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(画像は、@左上に紙面1/4の中の60%ほどで14×10.5cm、Aすぐ下に7×4.5cm、Bそのまま記事を挟んで右端に地図4.3×3.2cm、と3枚掲載されているが、その説明が同じポイントで以下のようにある。) @国の重要文化財でもある旧天城トンネルA狩野川を眺めながら入れる「湯本館」の露天風呂=伊豆市B(所在地などの説明は地図の下に) (そして、次に温泉地や近くの観光地などの説明が、これも同じポイントで以下のように横書き・横3段である。)
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●湯ヶ島温泉 伊豆・天城山中の渓流沿いに位置する。井上靖、梶井基次郎、若山牧水ら多くの文人たちが訪れた。宿泊施設は10軒。(電話の絵記号)伊豆市観光協会天城支部(0588-85-1056)。 ● 昭和の森会館 道の駅「天城越え」内にある施設。近隣の国有林の生態系や林業の歴史について紹介する「森の情報館」や、伊豆ゆかりの文学者約120人に関する資料を展示する「伊豆近代文学博物館」(300円、小学生100円)、井上靖が住んでいた家を移築した「井上靖旧邸」も。(四角い囲いが付いた「前」)8時半〜(四角い囲いが付いた「後」)4時半。(電話の絵記号)0588-85-1110。 ● 浄蓮の滝 天城国際鱒釣場 浄蓮(じょうれん)の滝を眺めながら釣りが楽しめる。川を利用した釣り堀に、ニジマスやアマゴを放流している。630円(30分、3匹まで持ち帰り可)。道具の貸し出しも(有料)。(四角い囲いが付いた「前」)8時半〜(四角い囲いが付いた「後」)5時。(電話の絵記号)0588-85-1441。
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【所在地】 伊豆市湯ヶ島 【交通】 伊豆箱根鉄道修善寺駅からバスで約30分。東名高速沼津インターから車で約1時間半。 【泉質】 硫酸塩泉
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