奥鬼怒温泉郷 (栃木県)   (宇都宮IC→今市IC→R121)

「加仁湯」混浴露天風呂

 北関東への夏の旅、3日目は奥鬼怒四湯である。20年も前から、是非とも行きたいと思っていた所だ。元々は電気も通じていず、非常に交通の便が悪くて、手段は徒歩しかなかったような奥地の秘湯で、そう何度も行ける訳ではない。そういう意味では、今回の一番のメインとも言える。

 奥鬼怒温泉郷は、福島・群馬との県境に近い栃木県最北西部の鬼怒川源流の秘境に湧く、川俣・平家平・女夫淵・加仁湯・八丁の湯・日光沢・手白沢などの秘湯の総称である。日光の北西で、湯西川の南の方角に位置していている。川俣の他はいずれも一軒宿で、大自然の緑に囲まれた素晴らしい露天風呂が多く、鬼怒沼・尾瀬への登山客の利用も多い。

 関東最後の秘境と言われ、1980年代後半に電気・電話が引かれ奥鬼怒スーパー林道が開通するまでは、ランプや自家発電の宿で、容易に訪れることのできない所であった。現在でも女夫淵より西は一般車の通行は禁止である。従って、女夫淵の大駐車場(無料)からは徒歩のみで往来可能なのである。但し、加仁湯・八丁の湯の宿泊者は専用バスの送迎がある。近隣には野湯も多数あり、沢噴橋の下から40分ごとに熱湯が噴き上がる間欠泉などもある。

 泉質は、硫黄泉・硫酸塩泉・炭酸水素塩泉・食塩泉・単純泉等48-70℃で、無色または乳白色・無臭または硫黄臭・浮かぶ湯の花などの特徴がある。一般的適応症をはじめ効能は豊かである。日帰り入浴は、手白沢の他は一応どの宿も可能だ。加仁湯は濁り湯、八丁の湯は滝の眺め、そして日光沢は山小屋の風情と、どの露天風呂もそれぞれに個性的な良さがある。


 観光は、登山はもちろんだが、往復5〜6時間で行ける鬼怒沼ハイキングが、一番の人気コースであるようだ。標高は2,040mあるという。加仁湯を拠点として、他の宿などに散歩するのもよい。元気な小学生が一緒の家族連れなども幾組かいて、微笑ましいものである。熊が出没しそうな臭いもするが……。

 しかし、何と言っても大変な秘湯であるのだ。今度訪れるのはいつになるだろう。とりあえずは、湯を楽しむ! これが、温泉マニアとして賢明な選択であろう。 

川俣温泉にて
奥鬼怒温泉郷へのドライブ
▼ 東名6時間-首都高渋谷池袋線-外環60分-東北道70分-宇都宮-
▼ 日光道-今市IC-R121-川治-鬼怒川沿い県道90分-川俣-平家平-
▼ 女夫淵(車は無料駐車場に止めて)-徒歩80分or送迎バス25分で
今市ICより所要2時間(女夫淵まで90分)(京阪神より10時間)。
▼ 今回の旅では、(東北道)西那須野塩原IC-R400-塩原-那須-塩原-日塩もみじライン-R121-川治-県道-女夫淵-奥鬼怒。鉄道では、東京浅草-東武特急スペーシア120分(新宿-JR特急120分)-(東武)鬼怒川温泉駅-バス100分-女夫淵-徒歩または送迎バス。

「加仁湯」ロビー横の部屋(熊や鹿などの剥製が置かれている)
温泉施設 川俣温泉 一柳閣 平家平温泉(御宿)こまゆみの里 女夫淵温泉ホテル
奥鬼怒温泉 加仁湯 奥鬼怒温泉 八丁ノ湯 奥鬼怒温泉 日光沢温泉 奥鬼怒温泉 手白沢温泉
(奥鬼怒)川俣温泉 一柳閣

【所在】 日光市(栗山村)川俣温泉
【電話】 0288-96-0111
【時間】 10:00-14:00。
【料金】 【入浴】\1,000。【宿泊】\13,800-。
【泉質】 含食塩重曹泉45℃・単純泉81℃,pHPH7.8とPH8.3。湯は、自家源泉・動力揚湯・掛け流し(非加温・非消毒)で、無色・無味・微硫化水素臭。
【施設】 鬼怒川上流の平家落人の集落が沈む川俣ダムより5km西で女夫淵の手前に位置する、10軒ほどからなる温泉地にある「日本秘湯を守る会」会員の感じが良い宿(42室)。近くには湯を15mの高さに吹き上げる間欠泉がある。施設は、鬼怒川源流の渓流すぐ横にあり野趣満点の大露天岩風呂(混浴20人程入浴可)・女性露天風呂・非常に良い眺めで感じの良い貸切露天風呂3(檜風呂・岩風呂・泡湯)・内湯がある。食事は、美味しい山の料理・鹿鍋・山菜・岩魚酒など。
【評価】 ★★★★☆(2010.08)無料の露天風呂は最高の雰囲気である。
渓流沿い露天風呂 ⇒
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平家平温泉(御宿)こまゆみの里
【所在】 日光市(栗山村)川俣646
【電話】 0288-96-0321
【時間】 12:00-14:30。
【料金】 【入浴】\500。【宿泊】\12,600-。
【泉質】 食塩泉44℃.pH6.2。湯は、自噴・自家源泉、非加水・非加温・非消毒で、無色・無臭。
【施設】 女夫淵の手前に位置する温泉地の一軒宿。鬼怒川を見下ろす眺めの岩造り露天風呂と木造り露天風呂(混浴1女1)がある。
【評価】 ★★★★☆
露天風呂が素晴らしいようだ⇒
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女夫淵温泉ホテル

【所在】 日光市(栗山村)川俣880-2(女夫淵)
【電話】 0288-96-0001
【時間】 8:30-15:00(2時間)。
【料金】 【入浴】\1,000。【宿泊】\13,650-。
【泉質】 食塩泉(塩化物温泉)60-72℃。
【施設】 宿(室)。
【評価】 ★★★★☆奥鬼怒の大自然を満喫できる山懐の清流沿いに位置し、女夫淵バス終点より通行規制の所にある、近代的な一軒宿(55室)。創業1986年。自家源泉・自噴と動力揚湯。湯量豊富で、湧出1,200g/分は県内一という。湯は、源泉100%(非加水・非加温・非消毒)で、無色・硫黄臭。内湯2と、大自然に囲まれた渓流すぐ横の大岩造り露天風呂などの露天風呂11(混浴9女2)・温水プール(夏期のみ)がある。それぞれ湯温・深さが違う風呂には、めでたい「七福神」の名が付けられている。日帰りは露天のみの利用。P60台。
女夫淵駐車場(左奥がホテル・右端は「加仁湯」専用バス) ⇒
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奥鬼怒四湯
 奥鬼怒の最も奥まった所にありハイキング客や登山者が入浴および宿泊をする施設。熊が出そうな自然がそのまま残されている。奥鬼怒四湯は、いずれも昭和初期までは登山客のための山小屋で、冬季は閉鎖していた。快適な宿泊なら「加仁湯」、露天からの眺めなどなら「八丁ノ湯」が良さそうだ。他の2つは、登山者のための山小屋で、一般の温泉宿泊だけを希望する客や日帰り客は望まれていないようだ。
奥鬼怒温泉 加仁湯

【所在】 日光市(栗山村)川俣871
【電話】 0288-96-0311
【時間】 9:00-15:00。無休。
【料金】 【入浴】\500。【宿泊】\11,200-。
【泉質】 硫黄泉(含硫黄-ナトリウム-塩化物-炭酸水素塩泉)・ナトリウム-カルシウム-塩化物-硫酸塩泉など48-70℃。湯は、異なる自家源泉5・掘削自噴・湧出300g/分・100%掛け流し(非加温・非加水・非消毒)で、濁り湯の乳白色(気温・気圧により濁り方が異なる)・硫黄臭・日本一の美人の湯というのが良い。創傷・火傷・皮膚病・動脈硬化症などにも効能。
【施設】 大自然に囲まれた鬼怒川の源流に位置し、徒歩(80分)で行く(女夫淵より送迎バスで行く)由緒ある山の秘湯でありながら、収容力があり立派な一軒宿(52室)。鬼怒川源流が流れるのに沿って、鉄筋4階建「本館」・快適な新館「積善館」・木造2階建て「あすなろ館」が、手前から並び建っている。客室からは、正面に柱状節理を流れる滝が、そして眼下に渓流と露天風呂も眺められる。ハイキングなどの後の心地よい疲労感をいで湯で癒すのは至福と言え、日帰り入浴を楽しむハイカーも多いようだ。施設は、内湯・夜はライトアップされる対岸の渓谷美が眺められる大自然に包まれた屋根付き岩造り露天風呂と丸太造り露天風呂(混浴3女1)・小さな貸切混浴露天岩石風呂3・極めて小さな貸切混浴露天石風呂5がある。食事は、山菜・川魚・鹿刺・山椒魚天ぷら・味噌味の石焼など。冬の積雪時も営業しているが、山奥のためカード使用は不可。アクセスは、女夫淵(無料駐車場)より徒歩90分(日帰り)、または送迎バス25分(宿泊者のみ可)。
【評価】 ★★★★★(2010.08)
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奥鬼怒温泉 八丁ノ湯

【所在】 日光市(栗山村)川俣876
【電話】 0288-96-0306
【時間】 10:00-15:00。
【料金】 【入浴】\500。【宿泊】\9,600-。
【泉質】 単純泉53℃。山肌より湧く自家源泉が8つ(八丁湯の由来)あり、自然湧出(300g/分)している。湯は、循環消毒なしで、無色透明。
【施設】 山々の原生林に抱かれた標高1,400mにあってひときわ静かな、徒歩(80分)で行く秘湯の山小屋(16室)とログハウス(17室)。昭和4年創業で、昔は「ランプの宿」と呼ばれていた。カナディアン風の天井の高いログハウスのバルコニーからは周囲の山々や渓流が望める。開放的で綺麗な滝見ができる露天岩風呂(混浴3女1)などがある。食事セットプラン\2,500もある。アクセスは、女夫淵無料駐車場より徒歩または送迎車(日帰りは徒歩)。
【評価】 ★★★★★(2010.08)加仁湯から10分ほど歩く人が多いが、手露天風呂からの眺めはこちらの方が風情があるようだ。
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日光沢温泉
【所在】 日光市(栗山村)川俣
【電話】 0288-96-0316
【時間】 9:00-15:00。
【料金】 【入浴】】\500。【宿泊】\8,000-。
【泉質】 含食塩重曹硫黄泉・アルカリ単純泉46-63℃。湯は、自噴源泉3・掛け流しで、白濁色と透明色・硫黄臭。
【施設】 最奥にあって送迎もなく、昭和40-50年代と変わらず登山客だけが徒歩で行く、非常に素朴で静かな山にある秘湯の山小屋風木造2階建の宿。山歩きする人のための基地である(例えば、白根山が素晴らしい鬼怒沼湿原へは登山2時間)。タオル・歯ブラシ・テレビ・鍵も何もない。施設は、内湯(日帰り不可)・川沿いの緑に囲まれた石造りタイル敷きorコンクリート製露天風呂(上下2段・混浴)。アクセスは、村営女夫淵駐車場(無料)-徒歩2時間(加仁湯より15分)。
【評価】 ★★★☆☆(2010.08)加仁湯から熊が出そうな山道で徒歩10分ほどにある。
犬が出迎えてくれる秘湯の山小屋 ⇒
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手白沢温泉
【所在】 日光市(栗山村)川俣870
【電話】 0288-96-0156
【時間】 ×:00-×:00。通年。
【料金】 【入浴】日帰り×。【宿泊】\13,500-。
【泉質】 単純硫黄泉46-63℃。湯は、自然湧出・自家源泉、非加水・非加温・非消毒で、薄白濁色・湯の花の特徴。
【施設】 山奥にあり徒歩で行くしかない、モダンな造りの昭和10年開業の一軒宿(15-20畳6室)。標高1,500mにあり、夏も涼しい。客室にはテレビもない。施設は、ガラス張り内湯・自然の原生林が眺められる露天岩風呂(男女別)。アクセスは、今市IC-川治-川俣-村営女夫淵駐車場より-徒歩2時間半。例えば、「加仁湯」「八丁湯」に宿泊すれば、徒歩40-50分で「手白澤」に来ることができる。
【評価】 ★★☆☆☆
イメージ(日光沢温泉) ⇒
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