夏休み、東北の秘湯巡りに出かけた。3日目は、以前から念願の「乳頭温泉郷」だ。八幡平の宿を出て、藤七・蒸(フケ)の湯・後生掛(ゴショガケ)に立ち寄り、玉川に南下するという強行軍である。田沢湖の北で秋田駒ヶ岳に向かった。形が函館大沼や会津磐梯山に似ていて、親しみを覚える。夏の16時、まだ真昼に宿に着き、乳白色の露天を楽しむことができた。
乳頭温泉郷は、十和田八幡平国立公園内で、岩手県境に近い秋田県最東部の田沢湖の北東で駒ヶ岳(秋田県一の高峰1,637m)の北麓にある、孫六・黒湯・蟹湯・大釜・妙ノ湯・鶴の湯・休暇村の七湯からなる温泉郷である。すべてがブナの森に囲まれた一軒宿で、自家源泉を有し、自然と一体となった野趣ある露天風呂がある。
開湯は最も古い鶴の湯が江戸初期で、秋田藩主の湯治湯であったという。明治になると一般庶民も農閑期などに多く訪れたようだ。山里にある昔ながらの湯治場の風情が人気を呼び、烏帽子岳(乳頭山1,478m)の登山客も多く、現在ではとても「秘湯」とは言えないかも知れない。冬は積雪・雪崩に要注意である。
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温乳頭温泉郷へのドライブ
▼ 東北道-盛岡IC-R46-田沢湖駅-R341-県道(スキー場方面)
▼ 田沢湖高原温泉-北東で1時間
盛岡ICより所要1時間
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泉質は、(単純)硫黄泉・含ヒ素酸性泉・(含鉄)酸性-カルシウム-マグネシウム-硫酸塩泉・ナトリウム-炭酸水素塩-塩化物泉・ナトリウム-炭酸水素塩泉・ラジウム鉱泉など37-98℃位、色は乳白色・白色・黒色・茶褐色・無色と様々で、湧出量は700g弱/分ある。一般的適応症の他、高血圧・動脈硬化・糖尿病・皮膚病などにも効能がある。
日帰り入浴はどの温泉もすべて可。食事は、きりたんぽ鍋・ハタハタで作った魚醤味のしょっつる鍋・山の芋鍋・大根を燻製にした漬物のいぶりがっこといった郷土料理などがある。
観光は、日本一の水深(423m)を誇る神秘の湖「田沢湖」へは車で30分で、周遊する遊覧船は東岸のレストハウスから出ている。西岸には、有名な「たつこ像」もある。400年前の武家屋敷が残る城下町で、春は枝垂桜が咲き誇り、「みちのくの小京都」と呼ばれる角館へは、車で50分。八合目から山頂までの所用時間が1時間30分の秋田県一の高峰駒ヶ岳へは、車で30分である。冬は駒ヶ岳と田沢湖を望む秋田一のゲレンデでスキーも楽しみたいものだ。
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▼鹿角八幡平ICからではR341-玉川温泉-田沢湖北東-県道、秋田からは2時間。鉄道ではJR秋田新幹線-田沢湖駅-バス45分(\800)、空路では秋田空港より-R46を北東で120分。
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