乳頭温泉郷 (秋田県)   (盛岡IC→R46または鹿角八幡平IC→R341)

 夏休み、東北の秘湯巡りに出かけた。3日目は、以前から念願の「乳頭温泉郷」だ。八幡平の宿を出て、藤七・蒸(フケ)の湯・後生掛(ゴショガケ)に立ち寄り、玉川に南下するという強行軍である。田沢湖の北で秋田駒ヶ岳に向かった。形が函館大沼や会津磐梯山に似ていて、親しみを覚える。夏の16時、まだ真昼に宿に着き、乳白色の露天を楽しむことができた。

 乳頭温泉郷は、十和田八幡平国立公園内で、岩手県境に近い秋田県最東部の田沢湖の北東で駒ヶ岳(秋田県一の高峰1,637m)の北麓にある、孫六・黒湯・蟹湯・大釜・妙ノ湯・鶴の湯・休暇村の七湯からなる温泉郷である。すべてがブナの森に囲まれた一軒宿で、自家源泉を有し、自然と一体となった野趣ある露天風呂がある。

 開湯は最も古い鶴の湯が江戸初期で、秋田藩主の湯治湯であったという。明治になると一般庶民も農閑期などに多く訪れたようだ。山里にある昔ながらの湯治場の風情が人気を呼び、烏帽子岳(乳頭山1,478m)の登山客も多く、現在ではとても「秘湯」とは言えないかも知れない。冬は積雪・雪崩に要注意である。


温乳頭温泉郷へのドライブ
▼ 東北道-盛岡IC-R46-田沢湖駅-R341-県道(スキー場方面)
▼ 田沢湖高原温泉-北東で1時間
盛岡ICより所要1時間

 泉質は、(単純)硫黄泉・含ヒ素酸性泉・(含鉄)酸性-カルシウム-マグネシウム-硫酸塩泉・ナトリウム-炭酸水素塩-塩化物泉・ナトリウム-炭酸水素塩泉・ラジウム鉱泉など37-98℃位、色は乳白色・白色・黒色・茶褐色・無色と様々で、湧出量は700g弱/分ある。一般的適応症の他、高血圧・動脈硬化・糖尿病・皮膚病などにも効能がある。

 日帰り入浴はどの温泉もすべて可。食事は、きりたんぽ鍋・ハタハタで作った魚醤味のしょっつる鍋・山の芋鍋・大根を燻製にした漬物のいぶりがっこといった郷土料理などがある。

 観光は、日本一の水深(423m)を誇る神秘の湖「田沢湖」へは車で30分で、周遊する遊覧船は東岸のレストハウスから出ている。西岸には、有名な「たつこ像」もある。400年前の武家屋敷が残る城下町で、春は枝垂桜が咲き誇り、「みちのくの小京都」と呼ばれる角館へは、車で50分。八合目から山頂までの所用時間が1時間30分の秋田県一の高峰駒ヶ岳へは、車で30分である。冬は駒ヶ岳と田沢湖を望む秋田一のゲレンデでスキーも楽しみたいものだ。

▼鹿角八幡平ICからではR341-玉川温泉-田沢湖北東-県道、秋田からは2時間。鉄道ではJR秋田新幹線-田沢湖駅-バス45分(\800)、空路では秋田空港より-R46を北東で120分。
温泉施設 鶴の湯温泉 休暇村 乳頭温泉郷 黒湯温泉 妙乃湯温泉 (金の湯銀の湯)
鶴の湯温泉

【所在】 仙北市田沢湖田沢先達沢国有林50
【電話】 0187-46-2139
【時間】 10:00-15:00。月曜定休。
【料金】 【入浴】\500。【宿泊】\8,500-。
【泉質】 含硫黄-ナトリウム-炭酸水素塩-塩化物泉・単純硫黄泉38-61℃(4種)。乳頭で最古の歴史を持つ。湯は乳白色・白色・黒色など、程良い硫黄臭がし、熱湯と温湯がある。プクプクと底から泡と一緒に湧出し、とても熱い所がある。
【施設】 「一度は行きたい温泉」のNO1にランクされる最も有名な秘湯中の秘湯で、創業が元禄14(1701)年(江戸初期)と最も古い宿。秋田藩主も湯治に訪れたが、その際に警護の武士が詰めた茅葺長屋「本陣」が現在も客室として残り、時代劇のセットのようで、夜はランプを使用している。自然なままの石造り露天風呂(混浴1女2)・木造内湯など9つの風呂がある。食事は囲炉裏端で、味噌仕立ての「山の芋鍋」が有名。1km手前には「別館」もある。2006年2月に雪崩が起こったのは、記憶に新しい。
【評価】 ★★★★★(2009.08)有名になりすぎ、俗っぽいと言われようが、良いものは良い。
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休暇村 乳頭温泉郷

【所在】 仙北市田沢湖駒ケ岳2-1
【電話】 0187-46-2244
【時間】 11:00-17:00。無休。
【料金】 【入浴】\500。【宿泊】\10,700-。
【泉質】 ナトリウム-炭酸水素塩泉・単純硫黄泉(2種)。湯は茶褐色と白濁色・無臭と硫黄臭。高血圧・動脈硬化にも効能。
【施設】 温泉郷の入口に位置し、周囲が深いブナ林で囲まれた公共の宿(38室)。「休暇村田沢湖高原」が、2008年に名称変更した。施設・温泉が良く、「鶴の湯」「黒湯」「妙乃湯」などに行くのも便利である。木造浴室ガラス張り石造り内湯各2(茶褐色湯と白濁湯)・屋根付露天風呂各1(白濁湯・囲いの上からブナ林の眺め)・テニスコート(\1,260)・オートキャンプ場がある。P200台。食事は、朝夕ともに和洋バイキング、郷土漬物「いぶりがっこ」・きりたんぽ鍋・山の芋鍋が人気あるようだ。
【評価】 ★★★★☆(2009.08)予想していた以上に、最高だ。
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黒湯温泉


【所在】 仙北市田沢湖生保内黒湯沢2-1
【電話】 0187-46-2214
【時間】 7:00-18:00。冬は休業。
【料金】 【入浴】\500。【宿泊】\11,700-。
【泉質】 単純硫化水素泉・単純泉(酸性硫黄泉)。発見されたのは1674(延宝2)年と、江戸時代からの古い歴史を持ち、湯量は乳頭随一豊富らしい。泉源が宿の横にあり、煙や湯の沸々と噴出する様が見える。湯は自然湧出・非加水・非加温・非消毒で、乳白色(晴)・黒色(曇・雨)と色が変化。
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【施設】 乳頭温泉郷の最奥に位置し冬は唯一休業となる、湯治場風茅葺き屋根の宿(20室)。深いブナ林に包まれた隠れ里のようで、「鶴の湯」のように人だらけでなく、白濁源泉をゆっくりと楽しむことができ、「鶴の湯」に次いで2番目に人気があるそうだ。周囲の山々の景観が心に染み入るような木造内湯(混浴1男2女2)・露天風呂(混浴1男1女1)・打たせ湯がある。
【評価】 ★★★★★(2009.08)白濁露天と景色が忘れられない。
妙乃湯温泉 (金の湯銀の湯)
【所在】 仙北市田沢湖生保内駒ケ岳2-1
【電話】 0187-46-2740
【時間】 10:00-15:00。火曜定休。
【料金】 【入浴】\700。【宿泊】\12,800-。
【泉質】 (含鉄)酸性-カルシウム-マグネシウム-硫酸塩泉56℃・単純(ナトリウム-カルシウム-マグネシウム-炭酸水素塩-硫酸塩)泉37℃。2つの源泉があり、前者は褐色で「金の湯」、後者は無色で「銀の湯」と称される。湯は、掛け流し(無加水・無添加・非循環)。
【施設】 渓流沿いに佇む秘湯の、隠れ家のような一軒宿(17室)。洗練された調度品などが落ち着きを感じさせる。湯船は7つ。底に丸い那智石が敷きつめられた木造内湯・青森ヒバ造り内湯・カエデに覆われた岩造り露天(女性用)・檜造り寝湯(露天)・滝に面した渓流に佇む混浴露天風呂2(石造りと木造り・バスタオル可・眺め良し)・渓流に面し水音が響き渡る貸切半露天木造風呂(日帰り\1,050/1時間)・休憩所がある。P17台。
【評価】 ★★★★☆女性に人気があるようだ。
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