那須温泉郷 (栃木県)   (那須IC→県道17号→ボルケーノ・ハイウェイ)

「大丸温泉旅館」露天風呂(川の湯)

 夏の旅、2日目は栃木の塩原から那須に向かう。前日の首都高速は少し緊張したが、今日はほぼ単調な一本道である。車のラジオから、タイガース「青い鳥」「モナリザの微笑」ゴールデンカップス「長い髪の少女」・ジャガーズ「君に会いたい」が流れていた。1970年前後だっただろうか、いずれも爆発的に流行したグループ・サウンズの曲である。懐かしいあの頃、何を思い、何をしていたのだろう。
 いつの間にか、板室温泉がある山道を通っていた。「湯本」という道路標示に惑わされたのだ。しばらくして前方に、茶臼岳らしきものが見えて来た。

 那須温泉郷は、福島県境に近い栃木県最北部の、今なお白煙を上げる活火山の那須五峰の主峰・茶臼岳の中腹から南東山裾(標高約1,400〜1,200m)にかけて、三斗小屋・大丸・弁天・八幡・北・高尾・那須湯本(鹿の湯)などと点在する湯量豊富な温泉郷で、「那須七湯」と称される(平野部の新那須温泉は含まず)。那須高原は日本有数のリゾート地で、旅館は100軒位だろうか、洒落た珈琲店やレストランなどもある。冬は日中雪がなくても、一晩で積雪凍結に変わるので、注意を要する。

 1400年前も昔(7世紀舒明天皇の御代)に発見されたといわれ、聖武天皇の御代である天平10年(738年)の正倉院文書の中に那須温泉の公式記録が残されているという。また、江戸時代にも大名が湯治に出かけることがしばしばあり、松尾芭蕉も『奥の細道』の旅で立ち寄っていて、「殺生石」の近くに「いしの香や 夏草あかし 露あかし」の句碑が立っている。

 泉質は、単純(硫黄)泉・酸性-含硫黄-硫酸塩泉(含硫化水素-酸性-明礬泉)・硫化水素泉など70℃前後で、無色(淡黄褐色)または白濁色。硫黄臭がしてい かにも温泉らしい野趣あふれる露天風呂も多い。一般的適応症の他に、皮膚病・創傷などにも効能がある。日帰り入浴は、ほとんどの宿で可能である。


 各温泉はボルケーノ・ハイウェイで結ばれ、近くにはサファリーパーク・ファミリー牧場・ゴルフ場・スキー場などがある。また、南は昨日泊まった塩原や、明後日に行く鬼怒川温泉、湯西川・会津の秘湯などに隣接している。良い(酔い)所である。

那須温泉郷へのドライブ
▼ 東名6時間-東京IC-首都高渋谷池袋線-美女木JCT-外環1時間-
▼ 川口JCT-東北道1時間半-那須IC-県道を北西-那須湯本-大丸で
那須ICより所要20〜40分(京阪神より8時間半)。
▼ 今回の旅は、首都高-川口JCT-東北道-西那須野塩原IC-R400-塩原温泉郷-県道を北-那須湯本-大丸。鉄道では、東京-新幹線75分-那須塩原駅-宇都宮線6分-JR黒磯駅-北西にバス30分。
温泉施設 大丸温泉旅館ニューおおたか 大丸温泉旅館 休暇村 那須 湯本温泉元湯 鹿の湯(共同浴場)
松川屋(那須高原ホテル) 那須高原ホテル ビューパレス

大丸温泉
 「湯本」や「鹿の湯」より奥に位置する標高が高い茶臼岳山腹にある温泉地で、野趣ある露天風呂もある。
大丸温泉 旅館ニューおおたか
【所在】 那須町湯本269
【電話】 0287-76-2457
【時間】 8:00-20:00。
【料金】 【入浴】\700。【宿泊】\10,650-。
【泉質】 単純(硫黄)泉71℃。無色(鉄分により淡黄褐色)・無臭・鉄味。
【施設】 関東平野を一望する茶臼岳東の山腹1250mの白戸川沿いで、ボルケーノハイウェイ終点にある宿(主に8畳8室)。「大丸温泉旅館」や町営駐車場の手前に位置している。雄大な那須岳の眺望が自慢の露天岩風呂がある。一人旅\10,650-。P30台(向かいの町営無料駐車場)。アクセスは、那須ICより20km(40分)。
【評価】 ★★★★☆
「大丸温泉旅館」の入口に位置 ⇒
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大丸温泉旅館

【所在】 那須町湯本269
【電話】 0287-76-3050
【時間】 11:30-14:30。不定休(7/25,30,31休)。
【料金】 【入浴】\1,000
【宿泊】\16,000-。
【泉質】 単純温泉70℃。湯は、「鹿の湯」からも引き湯しているようで、湯量豊富・源泉100%・掛け流し、無色・無臭である。
【施設】 明治に日露戦争で活躍した乃木大将が毎年滞在した老舗で、那須岳ロープウェイ乗り場(標高1,300m)まで来た所の、雲海の上に佇む静かな一軒宿(30室)。「日本秘湯を守る会」会員の宿でもあり、標高1,400mの奥深い山間にあって登山をしないと辿り着けない「三斗小屋温泉」に次いで、七湯の中でも二番目に標高が高い所にある。敷地内を湯の川が流れるという珍しい温泉である。創業1856年と安政年間より続き、館内の絵画・調度品は親族の手になる物を飾るなどのこだわりがあり、また「乃木希典将軍」ゆかりの品展示コーナーもある。川がそのまま露天になった「川の湯」(混浴大露天風呂)3・婦人専用露天風呂2・大浴場・家族風呂・飲泉場がある。P30台(10m離れた所にある町営の無料駐車場)。アクセスは、バス停「大丸温泉」下車徒歩5分。
【評価】 ★★★★★(2010.08)那須を代表する最高の宿である。
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乃木大将の滞在を記念する刀剣・胸像・写真など
休暇村 那須
【所在】 那須町湯本
【電話】 0287-76-2467
【時間】 12:30-17:30。
【料金】 【入浴】\840。【宿泊】\10,500-。
【泉質】 単純泉。湯は、大丸温泉の湯で、無色・無臭。リウマチなどに効能がある。
【施設】 湯本温泉より更に奥の茶臼岳の南麓の山腹に立地する、眺望抜群の宿(和36室・洋20室)。ロビーや露天からは那須野ケ原を一望でき、雲海や街並みも楽しめる。ガラス張り洋風展望大浴場・ジャグジー・打たせ湯・寝湯・露天風呂がある。食事は、地元の野菜などを使ったバイキング。キャンプ場・コテージもある。P150台。アクセスは、那須ICより湯本を経て18kmの所に位置している。
【評価】 ★★★☆☆周辺に温泉が多数あり、趣の異なる湯巡りが楽しむのに良い。
イメージ(「大丸温泉旅館」露天風呂) ⇒
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(那須)湯本温泉
 「鹿の湯」がある最も歴史ある温泉地で、風情ある旅館も多い。
元湯 鹿の湯(共同浴場)

【所在】 那須町湯本181
【電話】 0287-76-3098(or 2045)
【時間】 8:00-19:00。無休。
【料金】 【入浴】\400。【宿泊】なし。
【泉質】 酸性-含硫黄-硫酸塩泉(酸性-硫黄泉)(硫化水素及び砒素含有酸性明礬泉)68℃,pH2.5。湯は、白濁色・強硫黄臭の特徴。硫黄を豊富に含んだ強い酸性の泉質によって、消化器病・皮膚病・婦人病・動脈硬化症・高血圧症・糖尿病など、美容や様々な疾病に効能がある。入湯の心得としては、入浴前に後頭部にかぶり湯してから、胸までの半身浴をし、その後で全身を沈めると、めまい・吐き気・血圧などに対して良いそうだ。入浴時間は、2〜3分を繰り返し、全体で15分間が適当らしい。鹿の湯は、「短熱浴」の浴法なので、長湯は避けるべきである。
【施設】 那須最古の湯(開湯1370年)で、湯川沿いで「殺生石」の向かいにある共同浴場。猟師が射損じた鹿が温泉に浸かり傷を癒したことから発見されたといわれ、その伝説から「鹿の湯」と名付けられたそうだ。鄙びた木造の建物は明治に、玄関は大正時代に建造されたものだそうだ。霊泉らしい風情が漂い、人気があって入浴客が絶えることがない。木造浴室内には各々に温度差(41〜48℃)のある木の湯船・岩風呂がある。露天風呂はない。休憩室もある。P20台。アクセスは、那須IC・JR黒磯駅より車20分。
【評価】 ★★★☆☆(2010.08)小雨が降る夏の日も、入浴客が絶えることはなかった。
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松川屋(那須高原ホテル)
【所在】 那須町湯本252
【電話】 0287-76-3131
【時間】 11:30-20:00。
【料金】 【入浴】\1,200(土日は\1,500)。【宿泊】\12,750-。
【泉質】 硫黄泉68℃。湯は、「鹿の湯」源泉から引き湯し、掛け流し(非加水・非加温・非循環)で、濁り湯(乳白濁色)・硫黄臭の特徴。女性大浴場には、奥の沢源泉も引き湯している。緑が眺められる洋風ガラス張り石造り内湯・那須高原の眺望が素晴らしい開放的な総檜造り露天風呂がある。
【施設】 湯本・那須高原にある「鹿の湯」より南西500mに位置する、四季の彩りや満天の星などが満喫できる宿(55室)。
【評価】 ★★★★☆
那須ロープウェイ ⇒
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(那須高原)ホテル ビューパレス
【所在】 那須町湯本212
【電話】 0287-76-1111
【時間】 ?:00-?:00。
【料金】 【入浴】日帰り?。【宿泊】\16,800-。
【泉質】 単純酸性硫黄泉。湯は、「鹿の湯」を引き湯していて、白濁色・硫黄臭の特徴がある。
【施設】 「鹿の湯(共同浴場)」南西の「松川屋」より更に南西1kmで、那須高原の美しい自然の中に静かに佇む、プライベート・リゾートの宿。標高900mの那須山麓に建ち、眺望が素晴らしい。TV東京「厳選いい宿」などにも紹介され、若い女性に人気があるようだ。ガラス張り木枠内湯・屋根付きの源泉掛け流し白濁露天岩風呂がある。部屋は洒落た洋室・和洋室で、食事も洋食(当地旬食材・魚介・山の幸を用いた「旬材西洋膳」を、眺めの良いレストランで)。ウェルカム・カクテルのサービスがあり、パターゴルフも無料である。11:30〜14:00のランチメニューは、\2,100から。アクセスは、那須IC・黒磯駅より県道17号線で20分(送迎あり)。
【評価】 ★★★★☆
イメージ(明治・大正ロマン風の「大丸温泉旅館」ロビー) ⇒
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