left★原文・現代語訳★
〈授業の展開〉
【一】(起)両頭の蛇を見たと泣く孫叔敖
(導入)
張僧?厭、呉中人也。
張僧?(ちょうそうよう)は、呉中の人なり。
=張僧?は、呉中の人である。
武帝崇飾仏寺、多命僧?画之。
武帝仏寺を崇飾(すうしょく)するに、多くを僧?
に命じて之を画かしむ。
=武帝は仏寺を立派に装飾するとき、
その多くを僧?に命じて絵を描かせていた。
金陵安楽寺四白竜、不点眼睛。
金陵の安楽寺の四白竜は、眼睛(がんせい)を点ぜ
ず。
=金陵の安楽寺の四匹の白龍には、
(僧?は)瞳を描かなかった。
毎云、「点睛即飛去。」
毎(つね)に云ふ、「睛(ひとみ)を点ぜば即ち
飛び去らん。」と。
=(僧?は)いつも言う。「瞳を描いたら(四匹の
白龍は)すぐに飛び去ってしまうだろう。」と。
人以為妄誕、固請点之。
人以て妄誕(もうたん)と為し、固く之に点ぜんこ
とを請ふ。
=人々はあり得ない話だと思い、なんとしても
これに(眼を)描くことを頼んだ。
須臾雷電破壁、両竜乗雲、騰去上天。
須臾(しゅゆ)にして雷電(らいでん)壁を破り、
両竜雲に乗り、騰去(とうきょ)して天に上る。
=(僧?が、頼まれて龍に眼を描くと)たちまち
稲妻が壁を破り、二匹の龍は雲に乗って、
躍り上がって天に上っていった。
二竜未点眼者、見在。
二竜の未だ眼を点ぜざる者は、見(げん)に在り。
=もう二匹の龍で(まだ眼を描いていない)ものは、
現在も(絵の中に)残っている。
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right★補足・文法★
・張僧?=南北朝時代の梁の画家。生没年未詳。
・呉中=現在の江蘇省蘇州市
・武帝=(南朝)梁(りょう)の初代皇帝
在位502〜549年
・崇飾=立派に飾る
・金陵=梁の都。現在の江蘇省南京市
・眼睛=瞳
・妄誕=でたらめ
・須臾=少しの間、たちまち
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