left★板書(+発問)★   
(先生の授業ノート……普通クラス)
   松村圭一郎「まだ知らない自分に出会う」

〈作品〉
○出典 小冊子『ニューサポート高校国語』30号     (2018年刊)(43歳)

〈作者〉
〇昭和50(1975)〜
〇文化人類学者
 エチオピアや中東でフィールドワークを通じて、富  の所有と分配に関する研究に取り組む。。
○主な著書 『所有と分配の人類学』『文化人類学』       『うしろめたさの人類学』など

〈概要〉
〇読書論(他者論?)
〇読書は、対話と同様に、まだ知らない自分に出会う  面白さがあると述べる。

right★補足(+解説)★   
(評論)2025年4月










全体の構成 【一】(起)本を読む事の意味(理由)
【二】(承)限りなく対話に近い読書
【三】(転)対話という不完全なコミュニケーション
【四】(結)知らない自分に出会う対話の面白さ
left★板書(+発問)★   
〈授業の展開〉

【一】(起)本を読む事の意味(理由)
          (序論…一般論と筆者の主張)
<なぜ本を読む>と思うか
    ↓
 ・(一般論)<何かを得る>ため
    →知識を増やす、新しい物の見方を獲得する
     自分の存在を確かめる
    ↓↑
 ・(筆者の主張)読書は<対話>なのだ
    →何かを一方的に得るためではない
     ある種の<コミュニケーション>なのだ
    ||
時間と空間を自由に移動しながら
 書き手たちと対話するという
 <わくわくする経験>をすることだ

▼〈まとめ〉
私たちが本を読むのは、何かを得るためだと考えられ がちだが、対話であり、ある種のコミュニケーション なのだと筆者は言う。様々な書き手たちと対話すると いうわくわくする経験をすること(ため)なのだ。

right★補足(+解説)★   








    <書き手>…知らない誰か
      ↓
    < 本 >
      ↓↑ 向き合う・受け取る
    <読み手>

☆遠く離れた所にいる会えない人、既に亡くなってい  る人、千年前の人、全く理解できない言語を話す人  の言葉を、本で読むことができる







left★板書(+発問)★   
【二】(承)限りなく対話に近い読書
                (考察1…説明)
<でも>
〇それは<一方的で、対話ではない>(と話す学生)
    ↑
<一つの答え←筆者の反論>
 ・固定したメッセージを
  一方的に受け取っている訳ではない
    ←読み手が違えば、生まれるものは変わる
  =<読む人の関心や姿勢>で
   本に書かれた<メッセージが変わる>
のだ
    ↓
〇メッセージを送る人と、受け取る人が
 対面して思いを交感する<対話>に
 <読書は限りなく近い>

   ←本は「書く」だけではなく、「読む」という     行為によって、そのつど姿・形を変えるから

▼〈まとめ〉
読書は固定したメッセージを一方的に受け取っている 訳ではなく、読み手の関心や姿勢が違えばで生まれる ものは変わるので、メッセージを送る人と受け取る人 が、対面して思いを交感する対話に、限りなく近い。

right★補足(+解説)★        













・交感=互いに感じ合う

☆読む人の関心や姿勢で、本に書かれたメッセージは  固定的でなく、変わるものであり、一方的ではない







left★板書(+発問)★   
【三】(転)対話という不完全なコミュニケーション
                (考察2…説明)
<もう一つの答え>
〇そもそも対話は、双方向に
 <明確な意味で>言葉を遣り取りしてはいない
      ・必ずしも正確には捉えていない
      ・全く勘違いの場合もある
 ・言葉を意図した通り届けるのは容易でないが
  いちおう対話は成り立つ

「ずれ」があることに互いに気づかないまま
 対話が続くこともある
    ↓
 対話は<不完全なコミュニケーション>であり
 相手を理解する試みが失敗しながらも
 なお<成り立っているプロセス>なのだ


▼〈まとめ〉
対話は、明確な意味で言葉を遣り取りしている訳では なく、「ずれ」があることに気づかないまま続くこと もある不完全なコミュニケーションである。しかし、 相手を理解する試みが失敗しながらも、成り立ってh いるプロセスなのだ

right★補足(+解説)★   









☆双方向に明確な意味で言葉を遣り取りしてはいない  まま、対話が続く
 =互いの意図や言葉がきちんと了解し合えるわけで   なく、対話が続く
★対話は、明確な意味で言葉の遣り取りが出来ている  訳ではない不完全なコミュニケーションであるが、
 互いに相手を理解しようとするコミュニケーション  は成り立っていて、相互理解に至るプロセスなのだ








left★板書(+発問)★   
【四】(結)知らない自分に出会う対話の面白さ
                 (結論・補足)
〇対話していると、相手の言葉に影響を受けて揺さぶ  られ、自分の思ってもいなかったことを口走らせる
    ↓
〇本を読むことも、人と言葉を交わすことも、
 まだ<知らない自分に出会う>という対話の面白さ
 を味わえる機会なのだ

▼〈まとめ〉
読書も対話も、相手の言葉に影響を受けて揺さぶられ 思ってもいなかった事を口走るような、まだ知らない 自分に出会うという対話の面白さを味わえる機会だ。

right★補足(+解説)★   






left★板書(+発問)★   
〈要約〉
本を読むのは、何かの目的のために読むのではなく、 対話という不完全なコミュニケーションなのであり、 まだ知らない自分に出会う面白さを味わえる機会なの である。

『まだ知らない自分に出会う』(YouTube解説)
         ヘンデル「協奏曲ト短調」
         バッハ「平均律1−24ロ短調」
         温泉旅館「不死王閣」CM

right★補足(+解説)★   
〈補足…参考資料〉


写真は、ネット上のものを無断で借用しているものも あります。どうぞ宜しくお願い致します。

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