黒部峡谷温泉郷 (富山県)   (黒部IC→宇奈月方面)

欅平駅に着くトロッコ列車

 黒部峡谷温泉郷は、富山県北東部の黒部峡谷をトロッコ電車で宇奈月より更に奥に行った秘境で、車では行くことができない所である。北アルプスを源とする高低差3,000mの大峡谷で、トロッコ電車が開通し発電所が操業する大正時代以前は、前人未踏の地であった。
 そのような幽谷の渓流沿いに、温泉が幾つか点在しているのである。野趣ある露天風呂のある一軒宿ばかりで、日帰り入浴はいずれも可能だ。なお、唯一の交通手段であるトロッコ電車は、5-11月のみの営業であり、また前日までに予約しておくことが普通となっている。温泉が大好きな人にはなおさら堪らず、行かずにはおれない秘湯である。

 泉質は、単純泉・硫黄泉・食塩泉など87-98℃位、無色・透明・無臭で、神経痛・リウマチ・皮膚病などに効能がある。しかし、湯煙立つ露天風呂から眺める景色こそが、心身の一番の薬であり御馳走であろう。東には朝日岳や白馬岳などの北アルプスが、そして南には立山連峰が聳え立つ、そんな谷底を流れる渓流にある自然なままの温泉なのだ。

 トロッコ電車から見える大自然も感動の連続である。沿線の温泉や散策を楽しむには半日〜丸1日を要するだろう。特にGW・紅葉時は、まるで都会の繁華街のように老若男女でいっぱいで、非常に混雑しそうだ。切符購入ができない黒薙温泉などは、宇奈月駅に帰れるのは夜8時にはなりそうで、要注意である。
 近くの観光としては、北に宇奈月温泉があり、南では立山横断コースなども興味深い。3泊4日くらいは必要だから、また次の機会に訪れたいものだ。


 GW時は、渋滞や混雑のため外出しないことが多いが、今回は違った。以前からの念願であり、また主に夏場しか機会がないからだ。1泊2日の旅ではあったが、心身とも十分に充電できた気がする。
 連休で真ん中の日であり、帰途もほとんど渋滞することがない。京阪神に向け、ほぼ時速100kmで走る。車のFMから、「太陽がいっぱい」「太陽はひとりぼっち」が流れていた。いずれもフランスのアラン・ドロン主演の映画音楽である。もう何十年になるのだろうか。車窓からは、もう暗くて何も見えない。それでも、翌未明になるまでには帰宅することができた。


トロッコ列車の赤い鉄橋

宇奈月駅を出発したトロッコ列車(ホテル黒部より)

宇奈月湖

 行きたい所は他にも随分あったのに、3年後またこの地を訪れることとなった。今回は鐘釣より遠く終点の欅平まで足を延ばした。しかし、2〜3日では回ることはやはり無理であった。再三また来ることになるのだろう。

黒部峡谷温泉郷へのドライブ
▼ 名神高速1時間半-米原JCT-北陸道2時間半-黒部IC-県道-
▼ 宇奈月温泉駅-駐車-トロッコ列車-各駅より徒歩10-50分で
黒部ICより所要2〜3時間(京阪神より6〜7時間半)
▼ 宇奈月温泉駅からの詳細は、駅東に駐車(\900/日)-トロッコ列車(要予約)30〜80分-各駅(黒薙-鐘釣-欅平)より徒歩10〜50分。鉄道では、JR富山駅-富山地方鉄道-宇奈月温泉駅-トロッコ列車-徒歩。

斜めのカーブが美しいトロッコ列車

欅平駅に着くトロッコ列車A

欅平の人喰い岩
温泉施設 黒薙温泉旅館 鐘釣温泉旅館 猿飛山荘 名剣温泉 祖母谷(ババダニ)温泉(山小屋)
黒薙温泉旅館

【所在】 黒部市宇奈月町黒薙
【電話】 0765-62-1820
【時間】 9:00-16:00。営業4月下旬-11/23。
【料金】 【入浴】\500。【宿泊】\9,600-。
【泉質】 弱アルカリ単純泉98℃。麓にある宇奈月温泉の泉源となっている黒薙にあって、自家源泉があり湯量豊富である。湯は、高温のために加水・無色・無臭。
【施設】 最も近い「黒薙駅」より山道を東に徒歩20分(600m)の渓谷にある、湯治場の風情がある一軒宿(15室)。全室和室で、黒薙の絶景が望める。施設は、川沿いにある開放的で28畳ほどの源泉大露天岩風呂(混浴)・高台にあり峡谷美が堪能できる開放的な女性専用岩風呂・ガラス張りタイル内湯などがある。夏は豪雨になるとトロッコ列車が運休したり血を吸うアブが出たりするので、5・9・10月が良く、特に紅葉の秋が最適。食事は、山菜料理(うど・わらび・あざみ・竹の子・こごみ他)・岩魚の塩焼き・刺身(昆布じめ)他。最寄りの黒薙駅は、通過する電車もあるという不便さで、切符購入ができないので来た電車の空いている席に潜り込むしかない。非常に混雑するGW・紅葉時は、乗車券を往復で予約購入している人が多いため、電車が来ても乗れずに宇奈月駅に帰れるのは夜8時になるようなことがあり、要注意である。
【評価】 ★★★★☆
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黒薙の手前にある後曳橋

黒薙駅に停車するトロッコ列車
鐘釣温泉旅館

鐘釣温泉「美山荘」(営業はしていず)
【所在】 黒部市宇奈月町浦山
【電話】 0765-62-1103
【時間】 8:30-15:20.営業5月初-11/3。
【料金】 【入浴】無料。【宿泊】\10,000-。
【泉質】 単純泉40℃。湯は無色・無臭。
【施設】 黒薙駅より奥の「鐘釣駅」より、山道を東に徒歩10分(700m)ほど行った所にある秘湯の宿。以前は、源泉内湯(家族・混浴)があったはずだが、現在はなし。従って、施設は、旅館が管理し無料開放しているという、渓流沿いの河原に点在する混浴の洞窟露天岩風呂・野趣満点の河原露天風呂などだけである。だが、非常に浅く風呂とは言えないほどで、また周囲は人だらけでどこからも丸見えで、とても入浴できない。河原に源泉が湧出しているので手堀りで自分の湯船が作れるが、これも足湯とするのが精一杯である。ちょっと裏切られた感じの人が多いのではないだろうか。トロッコ列車営業期(5/1-11/30)のみ利用可。
【評価】 ★☆☆☆☆(2009.5)(補足)鐘釣駅よりすぐの所に「美山荘」という温泉施設があったはずだが、現在は何もない。鐘釣駅からの降車客は多く、ガッカリしたのは決して僕だけではないだろう。

洞窟露天
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河原露天
猿飛山荘

【所在】 黒部市宇奈月町
【電話】 0765-62-1004
【泉質】 単純硫黄泉(硫化水素型・弱アルカリ性高温泉)。湯は、源泉掛け流しで、無色。
【施設】 鐘釣駅より南の終点である「欅平駅」から西に5分ほど下った黒部川沿いにある施設。渓流沿いにコンクリート岩造り露天風呂(男女別)がある。岩魚・山菜・骨酒なども味わえる。西に20分で猿飛峡、東にすぐで河原展望台・足湯がある。

イメージ(広告より)
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猿飛山荘からすぐの河原展望台
名剣温泉

【所在】 黒部市宇奈月町犬山198-1
【電話】 0765-52-1355
【時間】 10:00-14:00。営業5/20-11/15。
【料金】 【入浴】\700。【宿泊】\16,800-。
【泉質】 単純硫黄泉。湯は、源泉掛け流しで、高温・無色・滑らかで、白い湯の花が浮き、硫黄臭が快い。
【施設】 黒薙駅や鐘釣駅より更に南の終点である欅平駅より、東に黒部川の支流の祖母谷川沿いを徒歩15分(800m)ほど行った祖母谷にある、「日本秘湯を守る会」会員の一軒宿(12室)。もちろん車では来ることができないが、温泉は本当に堪能できる。施設は、窓より峡谷が眺められる巨岩造り内湯2・平成になって旅館関係者が手作りで造った渓流の絶景が素晴らしい岩露天風呂・貸切風呂がある。
【評価】 ★★★★☆(2012.8)祖母谷ほどの野趣は期待できない。
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祖母谷(ババダニ)温泉 (山小屋)
【所在】 黒部市立山町芦寺
【電話】 0765-62-1038
【時間】 10:00-16:00(露天風呂は日出-日没)。営業6月初-11/8。
【料金】 【入浴】\500(川原露天は無料)。【宿泊】\8,400-。
【泉質】 単純硫黄泉80℃。湯は、加水・掛け流しで、無色・硫黄臭(煙・蒸気)。熱湯噴出に要注意。
【施設】 欅平駅より徒歩で行く峡谷最奥の「名剣温泉」より、更に林道を30分奥に行ってトンネルを抜けた所に流れる祖母谷川(黒部川支流)の対岸にある一軒宿の山小屋の温泉。評価★★★★☆だが、駅より50分はちょっときついか。電気・電話も可だが、21時消灯で、宿泊は相部屋もある。施設は、宿から100mほど川の上流に行った所に、源泉が流れ込み自然なままで渓谷美が抜群の露天風呂がある。但し、スコップで掘ったり岩を並べたりして湯船を作るか、また清流と混ざり合う適度な湯加減の所を探したりすることになる。更に奥に、登山者向きの阿曽原温泉・仙人温泉もあるそうだ。
【評価】 ★★☆☆☆
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名剣・祖母谷温泉に行く渓流沿い
京滋バイパス ⇒ 瀬田東JCT ⇒ 名神高速 ⇒ 栗東(1時間) ⇒ 米原JCT(1時間半) ⇒ 北陸道 ⇒ 敦賀(2時間) ⇒ 金沢(3時間) ⇒ 富山(3時間半) ⇒ 黒部IC(4時間) ⇒ 県道 ⇒ 宇奈月温泉駅(4時間半) ⇒ 駅東に駐車 ⇒ 黒部峡谷鉄道「トロッコ列車」 ⇒ (黒薙駅-鐘釣駅-欅平駅)徒歩 ⇒ 黒部峡谷温泉郷(5時間〜6時間半)