left★板書(+補足)★
【第三連】<川沿いの宿で飲む濁り酒と旅情>
(募る寂寥を濁り酒で癒やす旅人の思い)(夕方)
(結び)
暮れ行けば 浅間も見えず
・(時間が経過し)日が暮れて行くと、(北側に
聳えていた)浅間山も見えなくなってきた
歌哀し 佐久の草笛
・(東の方では)歌が哀愁を帯びて(聞こえて)
いる。佐久(の野で誰か)の(吹く)草笛が
千曲川 いざよふ波の
・(日が暮れてきたので、古城を下り)千曲川が
ためらう(ように流れる)波の(打ち寄せる)
岸近き 宿にのぼりつ
・岸に近い(所にあり、泊まる予定だった)宿に
上っ(て行っ)た
濁り酒 濁れる飲みて
・(宿に着いて、旅愁は募るばかりだった。その
寂寥を癒そうと、一人で)濁り酒の濁っている
のを飲んで
<草枕 しばし慰む>
・(草を枕に寝る)旅(の愁い)を、暫くの間は
慰め(ることができ)た。
▼〈まとめ〉
日が暮れていくと、浅間山は見えなくなり、佐久から
哀しい調べも聞こえて、旅愁は募るばかりであった。
旅人は古城を下って川沿いの宿に行き、濁り酒を飲み
暫くは旅情を慰めることができた
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right★発問☆解説ノート★
☆浅間=群馬・長野の県境にある2,568mの活火山
☆否定的表現の反復
(悲しむ・萌えず・よしなし・光はあれど)
→まだ春になりきらない春の侘しさに、旅の愁いを
かきたてられて、人生の寂寥を感じている
★倒置法…唐の草笛を詠んだ詩を踏まえた表現
☆視覚から聴覚へと、時間と共に変化
→日が暮れて、眺望がきかなくなる
・千曲川=屈曲が多いことから命名。長野県東部を北
に流れて信濃川となり、日本海へ注ぐ
・いざよふ=ためらう、進まないで止まりがちになる
→まだ雪解け水が少なく、水量が増していず、川の
流れが淀んでいる
・万葉集の柿本人麻呂の歌を踏まえた表現
・…つ(完了の助動詞)
・千曲川北岸の中棚温泉がモデル
・中国の陶淵明の詩を踏まえた表現
・濁り酒濁れる→同音反復→音律の効果
・草枕=旅(の仮寝)、旅愁・旅情・旅の愁い
☆濁り酒を飲んで、旅の寂寥や疲れを癒すのだが、
↓
暫くの間だけで、酔いが醒めた後の寂しさは、以前
にもまして強くなる → 寂しく心が満ち足りない
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