left★原文・現代語訳★  
「古典現代語訳ノート」(普通クラス)
   (漢詩) 杜牧

〈作者〉
・803〜853年 晩唐の詩人、字は牧之
・七言絶句に優れ、詩風が杜甫に似ていたので
 杜甫と区別して、「小杜」と呼ばれる
・著作 『題烏江亭』『赤壁』(詩)など

right★補足・文法★        
(漢詩)2021年10月)



・家は名門で、三代の皇帝の宰相の孫
・進士に及第するが辞任。後に地方の長官などを歴任




全体の構成 @(起句) A(承句)
B(転句) C(結句)
left★原文・現代語訳★  
  江南春    杜牧
   江南の春
   =江南の春

@(起句)千 里 鶯 啼 緑 映 紅
      千里鶯啼いて緑紅に映ず
      =千里四方のあちらこちらで鶯が啼いて
       木々の新緑が紅い花に映えて美しい。

A(承句)
水 村 山 郭 酒 旗 風
      水村山郭酒旗の風
      =見渡せば、水辺の村や山里の村では、
       酒屋の旗がのどかに風に靡いている。

B(転句)
南 朝 四 百 八 十 寺
      南朝四百(しひゃく)八十(はっしん)寺
      =仏教が盛んだった南朝時代は、ここに
       四百八十もの寺院が建てられたのだ。

C(結句)
多 少 楼 台 煙 雨 中
      多少の楼台煙雨の中
      =たくさんの寺院の楼閣や建物が今なお
       春の霧雨の中で煙って見えることだ。

right★補足・文法★        

・江南=長江下流の南の地域







・山郭=山辺の村。郭は集落を囲む壁
・酒旗=酒屋を示す旗やのぼり



・南朝=健康(今の江蘇省南京市)を都とした宋・斉・
 梁・陳の4つの王朝。仏教が栄え、その盛んな様は  「南朝四百八十寺」と称えられた>


・多少=たくさん




left★原文・現代語訳★
〈要約〉
▼鶯が鳴く春の、木々の緑と花の紅が映える美しさ、
 村で酒屋の旗が風に靡くのどかさ、春雨に煙る古都
 の寺院の佇まい、といった江南の情景を詠む。

〈鑑賞〉
▼前半で千里に広がる江南の春の美しくのどかな情景
 を謳い、後半で仏教が栄えた数百年前の南朝時代に
 思いを馳せる、という重層的な構成となっている。

〈概要・表現〉
七言絶句(7字の句×4行)
・起承転結の構成
・押韻→紅・風・中
   (句末に同じ響きの語→リズムや音楽性)
・対句はない

「江南の春」(YouTube 吟詠1)
「江南の春」(YouTube 吟詠2)
ヘンデル「協奏曲ト短調」
right★補足・文法★    
(参考 YouTube 江南杭州の映像)

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