left★原文・現代語訳★
〈要約〉
▼山の上に浮かぶ澄み切った月を眺めていて、郷愁が
しみじみと染み入る思いを詠んだ詩である。
〈鑑賞〉
・25歳で故郷を出て、長江流域から湖北省の辺りを
放浪していた、作者31歳の頃の作とされる。
・静かな秋の夜、月光が辺り一面に白くさしていて、
その輝きは地上に置いた霜ではないかと思うほどで
あった。その山の上にある月を眺めていると、遥か
彼方の故郷のことがしみじみと思いやられて感慨に
耽っていたのであろう。
〈概要・表現〉
・五言絶句(五字の句×四句)
・押韻→光・霜・郷
・対句→3句と4句

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right★補足・文法★
〈鑑賞2〉
人が寝静まった秋の夜更け、寝台の前に霜かと思う程
の白い光に、顔を挙げると遠くに山々が見え、その上
に澄んだ光を放つ満月が浮かんでいる。旧暦8月15日
の中秋節は、秋の満月を愛でる節句であるが、人々が
共に食事をし、灯籠に灯を点して祝うという家族団欒
の日でもある。円い形は何も欠けていず、幸福と理想
を意味するものであり、満月を見れば家族を思うのが
中国人の心性だという。また自分が月を見ていれば、
この同じ月を遥か彼方の友や家族も見ているだろうと
思うのも、定型的な発想の一つである。日本の『源氏
物語』でも、須磨に流された光源氏が月を眺めて都に
残してきた紫上を偲ぶ場面があった。
作者は、月を眺めて家族と故郷を思って、俯いて感慨
に耽っているのだ。
李白「静夜詩」(YouTube 詩吟)
コレルリ「ソナタト短調」
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