(先生の授業ノート)見田宗介「鏡の中の現代社会」  
left★板書(+発問)★   
(先生の授業ノート…普通クラス)
   見田宗介「鏡の中の現代社会」

〈出典〉
・「社会学入門」(2006年)

〈筆者〉(1937-2022)
・社会学者。消費化・情報化の進んだ現代社会の構造  と問題点を、自由の保持という立場から論じる。
・著作 『宮澤賢治』『現代社会の理論』『時間の比     較社会学』『旅のノートから』

〈概要→要約〉
・(近代)社会論
・様々な<異世界との比較>を通して、自己の生きる  <世界を相対的に認識>すべきである。

right★補足(+解説)★   
(評論)2024年11月







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right★補足(+解説)★        

   
全体の構成 【一】(起)自明性の罠からの解放 【二】(承)時間と近代の精神について(考察)
【三】(転)社会の本質と近代の精神について(考察) 【四】(結)自明性の脱却と本当に良い社会・生き方
left★板書(+発問)★    
〈授業の展開〉

【一】(起)自明性の罠からの解放

<社会>を見るとき、<離れた世界>に立って見る
<自明>(あたりまえ)だと思ってきたことが
「あたりまえではないもの」として見えてくる
                   →異化効果
 =<自明性の罠からの解放>
  ↓
  ↓
<例…インドなどへの旅>
 途方に暮れる
    (困った・不便・ひどい・危なかった)
  ↓             (→大嫌い??)
 旅と旅行は違う
  スケジュール通りなら、一つの旅行に過ぎない
  ↓
 不思議な魅力で、好きになった(矛盾)
  (離れた世界に立ち、自明でないものが見えた

▼〈段落まとめ〉
社会を見るとき、当たり前だと思ってきたことが、離 れた世界に立って見ると、当たり前ではないものとし て見えてくる。インドなどへの旅も、(日本でのよう な)タイムスケジュール通りでなく途方に暮れたが、 不思議な魅力で、好きになった。

right★補足(+解説)★        




・自明=当たり前であえること
・異化効果=見慣れた事物が、未知で異様なものに感       じるとう効果

☆私たちは自分の社会の在り方や生き方を当たり前の  ものと思う罠に陥りがちだが、離れた世界に立って  見ると、それから解放されて当たり前ではないもの  として思われてくること



★旅行はスケジュール通り目的地へ向かうものだが、  旅はそれだけでなく、生きた時間を楽しむ不思議な  魅力がある。










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【二】(承)時間と近代の精神について(考察)

@<「近代」の精神とは違う「生きる」時間>

異国でのおもしろさ
 ・イスラム・スペインの市場
   値段・品物で(長時間)
   <交渉自体を楽しむ>
 ・バスを待つ時間
   他愛ない話題で盛り上がり、
   待つという<時間を楽しむ>
  ↓
 <時間は基本的に「生きる」もの>である
    =何かに有効に「使われた」時間ではなく
     ただ「生きられた」時間である
    ↓↑         (対比・二項対立)
 <近代の精神>(Time is money)  とは違う
  ・時間をお金と同じように考える習慣
  ・「使う」「費やす」「無駄にする」

A<遠くから見る自分の社会>  (異国→日本)

<例>日本で、電車が1時間遅れたために
   乗客が騒ぎ駅長室の窓がたたき割られた(報道)
    ↑    (分刻みの時間に追われる生活が
    ↑     当たり前の世界)
   ・世界にはずいぶん異常な国がある
   ・「遠くの狂気」、不思議・奇怪なもの
               (として語られる)
<遠い鏡に映された狂気>
  ↓↑                (対比)
 近代社会の基本構造はビジネス(busyness=忙しさ)

B<ヨーロッパの近代を育む時計>

ヨーロッパの都市の中心部には時計がある
 ・ヨーロッパの人々は<時計>を見上げながら   <「近代」を育んできた>
 ・時間という枠組みの中に人間の生がおかれた
 ・一本針→二本針(分針)→三本針(忙しくなる)

▼〈段落まとめ〉
イスラム・スペインの異国では、時間は何かに有効に 「使われた」ものではなく、生きるものであり、時間 をお金と同じように考える近代の精神とは異なる。
だから、近代の精神である時間という枠組みの中で生 きる人々の世界は、異常で狂気じみたものと映る。

right★補足(+解説)★        











【イスラム・スペイン・インド・メキシコ】
 ・時間は、有効に使うものでない
 ・生きた時間を楽しむ(不思議な魅力)
 ・「現代」から離れた幾つかの世界
    ↓↑
【日本・アメリカ・ヨーロッパ】
 ・Time is money.が生活信条(近代の精神)
 ・時間は金と同じで、無駄に浪費せず
 ・近代社会(タイムスケジュール・経済効率)









☆遠く離れた異国の人々の目に映った、日本の異常で  狂気じみた世界





☆近代のヨーロッパの人々は時間という枠組みの中で  生きてきた










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【三】(転)社会の本質と近代の精神について(考察)

@<社会の理想とも関わる「死者の日」>

メキシコのインディオの「死者の日」
 ・死者たちが帰ってくる日(食事を準備して)
  村の墓場で自分の死者たちと一緒に楽しく過ごす
 ・(もう一つおもしろいのは)
  食事を一人分多く余分に作っておく
   (プラスワンの死者に寂しい思いをさせない)
            ↑
        生者の社会の投影
    ↓
 ・「開かれた/自由な共同体」とも関わる
    (社会学の究極の理想)

A<近代の生活信条と本質的なものの喪失>

マックス・ウェーバーの論文
 「プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神
 ・<近代社会を形作った基本的な精神>を解明
    ↓
 ・ベンジャミン・フランクリンの
  <Time is moneyと>いう生活信条の紹介(例)
  =時間の無為な浪費は、巨額の金額を損失させる
 ・時間を貨幣と同じように考えて   (有効に)
  <「使う」精神>こそ<近代の社会>を形成
            (資本主義社会)

    ↓↑(対比)
       (Time is moneyの精神からすれば)
「死者の日」はムダの上にムダを重ねるもの
    ↓
 <けれども>
 <社会の近代化>の中で生活を<合理化>しよう  とすれば
 社会や人生の<何か本質的なものを喪失>する
 (計算できず、目に見えず、言葉で表現できない)
    ||
人間は、<社会の近代化>の中で、
実に多くのものを獲得し、
<実に多くのものを失った>


▼〈段落まとめ〉
「時は金なり」という近代の生活信条や「使う」精神 は、近代の資本主義社会を形成してきたが、社会の近 代化の中で生活を合理化しようとすれば、社会や人間 の本質的なものが削り落されることになる。

right★補足(+解説)★        





☆祭りの日に、生者は食事も準備して全ての死者たち  と楽しく過ごして、誰一人として招待されず寂しい  思いをすることがないようした





【イスラム・スペイン・インド・メキシコ】
 ・時間は、有効に使うものでない
 ・生きた時間を楽しむ(不思議な魅力)
 ・「現代」から離れた幾つかの世界
    ↓↑
【日本・アメリカ・ヨーロッパ】
 ・Time is money.が生活信条(近代の精神)
 ・時間は金と同じで、無駄に浪費せず
 ・近代社会(タイムスケジュール・経済効率)



























left★板書(+発問)★    
【四】(結)自明性の脱却と本当に良い社会・生き方

@
「現代」から離れた幾つかの世界では、ネガティブな 話が多い
 <けれども>
 人間が生きていく上で一番核心にあるものは、
 目に見えにくいもの、数量化できないもの、言葉に  なりくいものが多い

B
僕たちは、<近代の後の新しい社会の形>を構想し、 実現してゆく所に立っている
 =様々な社会・人間の形を見はるかしながら
  <本当に良い社会・生き方の形>を構想・実現

  できる所に立っている
  ↑
A
大切なことは
異世界を知ることによって
現代社会の<「自明性の檻」の外部に>出てみる

ことだ
   ・様々な社会・生き方を知ることだ
   ・人間の(つくる社会の)可能性を知ることだ

▼〈段落まとめ〉
人間が生きていく上で一番核心にあるものは、目に見 えにくいものが多い。 だから、僕たちは現代社会の 「自明性の檻」の外部に出て、異世界を知ることによ って、様々な社会・生き方の可能性を知ることが大切 である。そして近代の後の新しい社会の形、即ち本当 に良い社会・生き方の形を構想・実現すべきだ。

right★補足(+解説)★        

































left★板書(+発問)★    
〈要約270字=24×11〉









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