left★原文・現代語訳★
〈授業の展開〉 (→要約→要旨)
【一】<藤原良近を主賓に酒宴を催した在原行平>
むかし、左兵衛の督(かみ)なりける在原の行平とい
ふありけり。
=昔、左兵衛府の長官であった在原行平という人がい
た。
その人の家によき酒ありと聞きて、上にありける左中
弁藤原の良近(まさちか)といふをなむ、まらうどざ
ねにて、その日はあるじまうけしたりける。
=その人(行平)の家に良い酒があると聞いて(多く
の人々が集まって来た。そこで、行平は)(宮中)
殿上(の間)に(出仕して)いた左中弁の藤原良近
という人を主賓として、その日は(主人役となり)
酒宴を催したのだった。
▼〈まとめ〉
在原行平の館に美味い酒があると聞いて、多くの人々
が集まってきた。そこで行平は藤原良近を主賓として
酒宴を開いた。
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right★補足・文法★
・左兵衛の督=左兵衛府(宮中を警護する役所)
の長官
・在原行平=在原業平の7歳年上の異母兄。左兵衛守
・治部卿などを経て正三位中納言に至る
・よき酒ありと聞きて=誰がそう聞いたのかは、文脈
からは分からない所がある
・上にありける=(宮中)殿上の間に出仕していた
→帝の日常の御座所である清涼殿に昇殿を許される
殿上人(官位4〜5位・30人→雲の上人)
・左中弁=太政官の役職の一つである佐弁局の中弁。
大弁・中弁・少弁があり、詔勅を起草する
・藤原良近=平安時代前期、藤原式家、中納言の藤原
吉野の四男。874年左中弁になる。官位は従四位下
→摂政・関白として朝廷で絶大な権勢を振るう藤原
良房の縁戚に連なる人物
・まらうどざね=主賓、主となる客(客人実)
・あるじまうけ=(酒宴などで主人役となって)
客をもてなすこと、饗応すること
宴会を主宰してご馳走すること
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