left★原文・現代語訳★
〈授業の展開〉 (→要約→要旨)
【一】<男に盗み出され「あれは何」と問う女>
むかし、男ありけり。
=昔、(ある)男(が)いた。
女の、え得(う)まじかりけるを、年を経てよばひわたりけるを、
=(高貴な)女で妻にすることができそうになかった
人を、何年間も求婚し続けていたが、
辛うじて盗み出でて、いと暗きに来(き)けり。
=やっとのことで(その女を)盗み出して、とても暗
い夜に(逃げて)来た。
芥川といふ河を率(ゐ)て行きければ、草の上に置きたりける露を、「かれは何ぞ」となん男に問ひける。
=(その途中)芥川という川(の畔)を連れて行った
ところ、(女が)草の上に降りていた露を(見て)
「(光っている)あれは何なの」と男に尋ねた。
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right★補足・文法★
・あり(ラ変・連用形)けり(過去・助動・終止形)
・え()得(ア行下二段「う」終止形)まじかり
(打消推量「まじ」連用形)ける(過去・連体形)
→え…打消=…できない(不可能)
・経(ハ行下二段「ふ」連用形)て(接続助詞)
・よばふ=求婚する・言い寄る・夜に寝所に忍び込む
・…わたる=絶えず(一面に)…する・…し続ける
・出で(ダ行下二段「いづ」連用形)て(接続助詞)
・来(カ変「く」連用形)けり(過去)
★高貴な身分の特別な事情がある女性で、
結婚は望めないから
・芥川=現在の大阪府高槻市にある川(との説あり)
・率る=(ワ行上一段動詞)連れて行く
→上一段動詞=「ひ・い・き・に・み」+「る」
・なん(係助詞・強意)…ける(過去・連体)
→係り結び→「ぞ・なむ」+(連体形)=強調
★露を見たことがないほど奥深い部屋で大切にされる
高貴な身分で、汚れなく純白・純真な女性
→「昔男」は更に心惹かれ、大切な宝物に思う
→しかし、輝く愛も一瞬ではかなく消える事を暗示
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