left★原文・現代語訳★
【二】遠き異朝の例
遠く異朝をとぶらへば、
秦の趙高、漢の王莽、梁の朱忌(シウイ)、唐の禄山、
=遠く外国(の例)を探し求めると、秦の趙高、漢の
王莽、梁の朱忌、唐の禄山(などがあるが)、
これらは皆、旧主先皇の政(マツリゴト)にも従はず、
楽しみを極め、諫(イサ)めをも思ひ入れず、
天下の乱れんことを悟らずして、民間の愁ふるところ
を知らざつしかば、
=これらは皆、元の主君や先代の皇帝の政治にも従は
ず、(栄華を)楽しみ極め、(周囲が)諫めるのも
聞き入れ(ようとせ)ず、天下の乱れる(ような)
ことを悟らないで、民衆たちが嘆き苦しむのを知ら
なかったので、
久しからずして、亡じにし者どもなり。
=(その栄華が)長続きしないで、滅んでしまった者
たちである。
▼(段落まとめ)
遠く外国に探し求めると、栄華が長続きせずに滅んで
しまった「盛者必衰」の例が多い。
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right★補足・文法★
・異朝=外国・異国
・とぶらふ=尋ねる・訪れる・探し求める
・乱れ(ラ行下二未然)+ん(婉曲…ような)+こと
・憂ふ=嘆き悲しみ(苦しさ・辛さ・不安)を訴える
心を悩ます・心配する・病気になる
・知ら+ざつ(ざり促音便)+しか(過去已然)+ば
・亡じ(サ変,用)+に(完了,用)+し(過去,体)
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