left★板書(+補足)★
冬蜂の 死にどころなく 歩きけり
=冬(の寒空の下を)(一匹の)蜂が
(もう飛ぶ力もなく自分の)死に場所を探し求めて
(いるかのように、よろよろと)歩いている(。そ
の姿は何とも無惨で哀れである)ことだ
〈出典〉(…初出)
大正4年(1915)『ホトトギス』1月号初出(50歳)
『亀城句集』(大6)所収
〈主題〉(感動の中心)
死期の迫った<冬蜂への憐憫と自身の悲哀>
〈鑑賞〉(感想・補足)
・亀城の句の一大特色は、
小動物などに憐憫の感情移入をして、それを捉え、
そこに自己を投影させるということである。
対象への同情と同時に、自己憐憫がある。
・深い写生の句(叙景的な句)
|
|
right★発問☆解説ノート★
・冬蜂=本来ならばもう死んでいる時期なのに、冬に
なっても生き残っている雄の蜂。役割を終え、死を
待つばかりの状態(→感情移入)→季語
→蜂は夏から秋に交尾して、雄は死に、雌だけが冬
ごもりし、春になって巣を作り卵を産む
・死にどころなく→蜂への憐れみ、自己への憐憫の情
・…けり(詠嘆・切れ字)
・冬蜂への同情と、自身の悲哀(老残の身への感慨)
・蜂に重ね合わせて、十分な収入を得られる職に就く
こともできず貧窮のうちに多くの家族を養うという
自身の苦しい境遇・姿を詠む
→深い同情・悲哀の思い→人生の悩み・憤り・諦め
→貧しい境涯が、弱者や小動物に対する愛隣の句と
なって表現
|
|