left★板書(+補足)★
いくたびも 雪の深さを 尋ねけり|
=(先程から雪が降り続いている。もう相当積もって
いるだろう。病床にあって起き上がる事の出来ない
私は)幾度も幾度も、雪の深さ(が今頃はどの位に
積もっているのか)を、家人に尋ねてみたことだ。
〈出典〉
明治29年の作、「病中雪四句」と前書きした連作の
第二句(作者29歳)
「雪ふるよ 障子の穴を 見てあれば」の次に詠む
〈主題〉(情景・心情)
(雪を見たいという)童心のような浮き浮きした心の
弾みと、それが<満たされないもどかしさ>
〈鑑賞〉(補足)
・日常生活の一断面を淡々と客観的に詠み、
さりげなく表現 (→作者の境涯・心情)
(生活的な句→人を童心に帰させる雪への執着)
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right★発問☆解説ノート★
・雪→季語(冬)→少年時代への郷愁を呼び起こす力
・…けり(詠嘆=…ことだ)→切れ字→句切れ
☆いくたびも
@病床にあって外の雪景色が見られないもどかしさ
A童心に戻ったように知りたくてたまらない気持ち
・家人→同居している母や妹(病臥の床から尋ねる)
・1896年
・他のは「雪の家に 寝て居ると思ふ ばかりにて」
「障子明けよ 上野の雪を 一目見ん」
・背景→病床+雪
・幾度も積雪量を尋ねるという行為だけを叙した表現
の背後から、子規の心情が読み取れる
・1月はわずかに歩行できたが、2月には腰が腫れて
痛みが激しく、ただ横に寝ているだけで身動きさえ
出来ない状態になっていた。不治の病という自覚は
あっても、病気はまだ中期で、諦念には達していな
かった→大雪という事で童心のように心が弾む
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