left★板書(+補足)★
「現代文授業ノート」(普通クラス)
   (近代俳句) 河東碧梧桐

〈作者〉
・明治6(1873)〜昭和12(1937)
明治30年代〜大正
  正岡子規に師事して俳句革新に活躍、その没後
  新聞「日本」の俳句選者を継ぐが
  雑誌「ホトトギス」の高浜虚子とは別派をなす
  <新傾向俳句>を推進、俳句近代化の先駆的役割
・句集 『春夏秋冬』など

right★発問☆解説ノート★
(俳句)2016年3月〜8月
              (2020年3月改)


・〜64歳



・「守旧派」(伝統美)の高浜虚子と生涯のライバル
・散文的傾向で、自由律俳句・無季俳句
              (季題・題詠を維持)

left★板書(+補足)★
から松は  淋しき木なり  赤蜻蛉(とんぼ)
=(晩秋となり)から松(が美しく黄葉しているのが
 見える。だが、はらはらと葉を落として散っている
 の)は(見るからに)淋しい木である。(いかにも
 淋しげな間を)赤蜻蛉(が静かに漂うように群れて
 飛んで行くこと)だなあ

〈出典〉
明治35年(1902)作(作者29歳
「春夏秋冬」所収

〈主題〉(感動の中心)
<静かで寂しい情景>(と作者の心情の照応)

〈鑑賞〉(感想・補足)
・晩秋のある日のこと、から松が美しく黄葉していて
 次々と葉を落として散っていき、その間を赤蜻蛉が
 秋の陽に輝きながらのフワフワ飛んで行く、という
 いかにも寂しげな様子を見て詠んだ、有季定型の句

right★発問☆解説ノート★
・から松=秋、一斉に黄葉して、散る
・淋しき木なり→句切れ→感動の中心
・赤蜻蛉=明るく何となく儚い日本の秋の風物の代表
 →秋の陽を浴びて輝きながらフワフワ飛んで行く
 →季語(秋)・体言止め















left★板書(+補足)★
浴衣著(き)て  あぐらかく  それぎりなのだ
=(暑い夏の日に)浴衣を着て、あぐらをかく。それ
 だけなのだ(それ以外、何もしないのだ。とにかく
 暑くてどうにも堪らない気分だ)

〈出典〉
大正10年(1921)7月パリでの作(作者38歳

〈主題〉(感動の中心)
<暑くて、やりきれない苛立ち>

〈鑑賞〉(感想・補足)
・大正9年12月〜翌年12月、ヨーロッパ旅行。
 ローマ・ベルリン・ロンドン・ワシントンに遊ぶ。
 10年4月〜6月までローマに滞在していたが、
 その後パリに移った7月に作られた句。
 パリの暑気は何十年以来の極点に達して、雨も6〜
 70日間降らなかったという
・定型律(五七五)のリズムを、句またがりによって
 崩して、やりきれない心情を巧みに表現している

right★発問☆解説ノート★
・浴衣=くつろいで着る夏の日常着→季語(夏)
・著(き)る=「着る」「身に着ける」の意味
・あぐらかく それ(中七)→<句またがり>
 →新傾向俳句
・それぎりなのだ=吐き出すような口調(口語表現)
 →すっきりとしない苛立ち+ユーモラスな印象


・暑さに対する苛立ちだけではなく、長い旅に於ける
 憂愁もあったようだ











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