left★板書(+補足)★
浴衣著(き)て あぐらかく それぎりなのだ
=(暑い夏の日に)浴衣を着て、あぐらをかく。それ
だけなのだ(それ以外、何もしないのだ。とにかく
暑くてどうにも堪らない気分だ)
〈出典〉
大正10年(1921)7月パリでの作(作者38歳)
〈主題〉(感動の中心)
<暑くて、やりきれない苛立ち>
〈鑑賞〉(感想・補足)
・大正9年12月〜翌年12月、ヨーロッパ旅行。
ローマ・ベルリン・ロンドン・ワシントンに遊ぶ。
10年4月〜6月までローマに滞在していたが、
その後パリに移った7月に作られた句。
パリの暑気は何十年以来の極点に達して、雨も6〜
70日間降らなかったという
・定型律(五七五)のリズムを、句またがりによって
崩して、やりきれない心情を巧みに表現している
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right★発問☆解説ノート★
・浴衣=くつろいで着る夏の日常着→季語(夏)
・著(き)る=「着る」「身に着ける」の意味
・あぐらかく それ(中七)→<句またがり>
→新傾向俳句
・それぎりなのだ=吐き出すような口調(口語表現)
→すっきりとしない苛立ち+ユーモラスな印象
・暑さに対する苛立ちだけではなく、長い旅に於ける
憂愁もあったようだ
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