有馬温泉 (兵庫県)   (中国道→西宮北IC→)

大浴場より望む有馬の山並み

 もう20回以上は行っただろうか、有馬は。春は花見に、GWは渋滞する遠出を避けて、初夏は新緑を求めて、あるいは記念日での食事に……と、いつ行っても飽きることはない。あの、元々は無色透明だが空気に触れて鉄が酸化して赤茶色になるという、濃厚な赤湯も魅力だ。

 有馬温泉は、兵庫県南東部の六甲山北麓に湧く日本最古の温泉で、「古事記」「日本書記」にも記述がある「日本三古湯」(白浜・有馬・道後)の一つであり、また新井白石が称した「日本三名泉」(草津・下呂・有馬)の一つでもある。その後、奈良時代に僧行基が温泉寺を建立し、鎌倉時代に12の宿坊が建てられたという。近世では太閤豊臣秀吉も度々来訪しては千利休とこの地で茶会を催したと言われ、近代では文豪谷崎潤一郎の小説の舞台にもなっている。

 源泉は、赤褐色の「金泉」(含鉄-ナトリウム-塩化物-強塩高温泉)と無色透明の「銀泉」(炭酸泉とラドン泉)の2種類が湧く。「金泉」は、メタ珪酸を多量に含んでいて肌触りがマイルドになり、殺菌作用もあると言われる。また「銀泉」のうち炭酸泉(二酸化炭素泉)は、毛細血管の拡張により血流の増加や胃液の分泌を促し、ラドン泉(放射能泉)は、呼吸器からのガスの吸入により、全身の組織の自然治癒力を高めると言われる。泉温は31-98℃で、濃厚な塩味がし、皮膚病・婦人病にも特に効能があるらしい。


 環境省が「療養泉」として指定している9つの主成分のうち、硫黄泉・酸性泉を除く、単純泉・二酸化炭素泉・炭酸水素泉・塩化物泉・硫酸塩泉・含鉄泉・放射能泉の7つの成分が混合した世界的にも珍しい泉質である。抗生物質・薬など効き目がなかった難治性の可能性創傷や、ステロイド治療を続けたアトピー性皮膚湿疹が温泉治療で改善または完治した治療例・実績などがある。
 日帰り入浴はほとんどの宿で可能で、そうでない所も数千円の昼食セットプランがある。

 京阪神の奥座敷で六甲山の北に位置する有馬は、他にも「わんわんランド」での動物との触れ合いや六甲山ロープウェイからの眺望を楽しんだりもでき、気軽に温泉やハイキングなどを楽しむ老若男女でいつも賑わっているようだ。

有馬温泉へのドライブ
▼ 中央環状線-池田-川西-
▼ 宝塚より-R176を5分-左折して県道(有馬街道)を20分で
大阪より所要1時間半
▼中国道経由であれば、西宮北ICより(-R176を南東すぐに)-県道を南で20分、また阪神高速神戸線-芦有道路-では所要1時間(料金片道\2,000位)。鉄道では神戸電鉄有馬線-有馬駅よりループバス5分。またロープウェイも可。
温泉施設 有馬グランドホテル 御所坊 兵衛向陽閣 元湯古泉閣 有馬ビューホテル 簡保の宿有馬
有馬グランドホテル

大浴場からの眺望1
【所在】 神戸市有馬町1304
【電話】 078-904-0181
【時間】 11:30-15:30。
【料金】 【入浴】\3,500(\2,000金券付き、休日\4,000)。他に、昼食セットプラン\6,000(休日\6,500、要予約、和洋中コース料理=美味、眺望が非常に素晴らしくゴージャスなレストランで、11:30-14:00)もある。食事は、プールがある庭園に面したレストランで。【宿泊】\20,000-。
【泉質】 含鉄-二酸化炭素-ナトリウム-塩化物強塩低温泉31℃・含鉄-ナトリウム-強塩高温泉98℃。敷地内に独自の自家源泉2種類が湧出。湯は非加水・加温・塩素消毒・非濾過・掛け流し循環式併用(資源保護)。湯は赤茶色と無色の2つ・塩味。塩分・鉄分・炭酸・ラドンなど含有。赤湯浴槽以外は水道水使用(?)。
【効能】 疲労回復などの一般的適応症・婦人病・慢性消化器病・慢性皮膚病。
【施設】 太閤橋や駅より西の高台にある、1868年創業の大規模で近代的な8階建てホテル(228室)。お洒落な女性に人気がありそうだ。9階の展望大浴苑「雲海」には、男女ともに、総ガラス張り石造り大浴場(街並みや山々を一望)・眺望抜群の円形の露天石風呂(1つは赤湯)・木枠露天(無色)・中浴場(1つは赤湯)・水風呂・サウナ・打たせ湯などがあり、1階にも大ガラス張り大浴場岩風呂と露天石風呂(濃厚な赤湯)がある。P400台。
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大浴場からの展望2

露天風呂(金泉)
【評価】 ★★★★★(2001.11)ゴージャスな感じで、レストラン・大浴場・客室からの眺望が広々と開けて居て抜群であり、今までに十数回訪れ、個人的には有馬で一番お気に入りのやどである。9階の展望大浴苑「雲海」は、街と山と空が水平線の向こうに見え、その名のごとく天上にいるかのようである。湯上がり後の冷茶サービスもある。
御所坊

玄関にあるロンドンタクシー「ビッグベン」
【所在】 神戸市有馬町858
【電話】 078-904-0551
【時間】 11:00-16:00。
【料金】 【入浴】\1,500(要予約)。洋風のレストランを利用する昼食には、名物ソバ\2,500・和風会席料理\4,500などがある。
宿泊:\20,000-【宿泊】\0-。
【泉質】 PH7.8含鉄食塩炭酸泉(含鉄強食塩泉)83-98℃。温泉は黄金色の金泉と、透明な炭酸泉の銀泉の2種類(自家源泉)。金泉の泉質は有馬でも一番の濃厚な赤茶色で、塩分も強く唇などがヒリヒリする程である。濃厚な源泉かけ流しでレジオネラ菌も無縁。
【効能】 神経痛・リュウマチ・婦人病・ストレス等。古来より万病に効くと言われ、日本三名泉の一つとされる。
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旅館の傍らの小川と小道
【施設】 長逗留した谷崎潤一郎が言うような、影こそ日本の美と考えているような、古風で風格がある宿。2階に、花咲く庭の見えるガラス窓がある内湯(無色)と、岩風呂の風情の比較的大きな半露天風呂(濃厚な赤茶色の湯だが、眺望は今一つ)がある。露天風呂は面白い造りで、中に入れば半混浴露天のように申し訳程度の低い仕切りがあるだけで、男女とも相手の顔なども覗けるような状態だが、それ以上は期待できない。サウナなどはない。P5台(それ以上は別の駐車場へ運転手が運んでくれる)。
【評価】 ★★★★★(2001.5)谷崎潤一郎・吉川英治が逗留して執筆活動に専念したと言われ、歴史と風情が感じられる、落ち着いた所である。旅館の傍には小道があり、きれいな小川も流れている。初夏はまぶしい程に緑でがっぱいでツツジ等が美しく、鶯の声も聞かれることもある。退館時、別の駐車場や最寄りの駅へは旅館のロンドンタクシー風のビッグベンで運んでくれる。料理も良い。
兵衛 向陽閣

【所在】 神戸市有馬町1904
【電話】 078-904-0501
【時間】 11:00-15:00。
【料金】 【入浴】\6,000(昼食セットプラン:ひさご弁当+喫茶券付、休日\6,500、庭園に面したレストランで)。他に炭火焼花会席 \8,000(小さな掘りごたつ風の個室で、冬はボリュームたっぷりの鴨鍋も出る)・夕食プラン(和食・炭火焼会席 \10,000-、入浴要\500・平日は入浴券サービス)もある。【宿泊】\20,000-。
【泉質】 含鉄-食塩泉・炭酸泉90℃。温泉は赤茶色の「金泉」と無色透明な「銀泉」の2種類(自家源泉)。湯は加水(温度調節)していて、鉱物臭・塩味の特徴。
【効能】 神経痛・筋肉痛・関節痛・五十肩・打ち身・挫き・婦人病・慢性消化器病・痔疾・冷え性・切り傷・火傷・慢性皮膚病。
【施設】 温泉街の中心に位置し、遠く北攝の山並みを望む、1937年創業の8階建てホテル(133室)。風呂は和風と洋風の2種類あり、隔日で男女入れ替えをしている。大浴場・中浴場(金泉)・岩露天風呂(金泉・有馬の山々がちょっと眺望できる)・水風呂・サウナ・打たせ湯などがある。P100台。
【評価】 ★★★★☆(2001.12)泉質が良く、料理も抜群である。
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洋風大浴場(銀泉)

和風露天風呂(金泉)
元湯 古泉閣
【所在】 神戸市有馬町1445
【電話】 078-904-0731
【時間】 11:00-15:00。
【料金】 【入浴】\5,000(昼食セット:和食・洋食懐石料理)。別館「慶月」で精進料理(14時以後も可)もある。【宿泊】\20,000-。
【泉質】 含鉄-ナトリウム-塩化物強塩泉・炭酸泉63℃。随一の湯量と泉質を誇る元湯で、黄金湯の「金泉」と透明な「銀泉」の2種類の自家源泉が湧く。
【施設】 駅より徒歩7分で、「兵衛向陽閣」の隣にある敷地が広大で静寂な宿。浴室は2ヶ所あり、一つは四季の風景が楽しめるガラス張り六角堂の内湯・サウナ、もう一つは地下の洞窟岩風呂(眺望ゼロ)。露天風呂はなし。P100台。
【評価】 ★★★☆☆(2001.6)庭園が広大で、格式と風情のある落ち着いた所である。数分下った所に池があり、初夏は蓮の花も咲いている。ツツジ等が美しい初夏が良い。料理もおもしろい。
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別館「慶月」より
有馬ビューホテル(別館日帰り温泉)
【所在】 神戸市有馬町池尻
【電話】 078-904-2291
【時間】 10:00-20:00。
【料金】 【入浴】\1,900(夜17時以降は\1,000、但し駐車料\1,000)。昼食セットプラン \6,000-(11:00-14:00、会席・鍋など、室料・駐車料込み)もある。【宿泊】\12,000-。宿泊者は「太閤の湯」入浴無料。
【泉質】 含鉄-食塩-放射能泉(金泉)・単純放射能泉(銀泉)・(高濃度炭酸ガス含有)炭酸泉(人工)90℃。湯は加水・加温・循環濾過で、黄金湯の「金泉」と透明な「銀泉」がある。成分濃厚で温泉臭がする。
【施設】 駅より南東600mで、「兵衛向陽閣」の隣に位置する、西館と別館日帰り温泉の二つがある宿(62室)。創業は1973年。別館日帰り温泉は、庶民的イメージの演芸場があり、平日はお年寄りが多い。閉塞感がある大浴場・サウナ・打たせ湯があるが、露天風呂はなく、眺望もゼロである。P200台(別途\1,000必要)。食事は、三田牛・瀬戸内産魚介類など。
【評価】 ★★☆☆☆入浴料 \1,900+駐車料\1,000は高過ぎる。歌謡ショー・舞踊が毎日2回あり、気取らずに金泉が楽しめるのは良いとしても。
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近くの眺望
簡保の宿 有馬

玄関
【所在】 神戸市有馬町1617
【電話】 078-904-0951
【時間】 10:30-15:00・16:00-20:30。
【料金】 【入浴】\700(土日祝日は\1,000)。人気があったバイキング入浴セット\1,500は廃止されたようで、現在は昼食セットプラン\3,000がある。【宿泊】\13,500-。
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近くの鼓ケ滝と渓流
【泉質】 含鉄-塩化土類-強食塩泉・炭酸泉90℃,pH6.1。黄金湯の「金泉」と透明な炭酸泉の「銀泉」の2種類がある。湯は加水(高温・高濃度のため)・苦い塩味。泡沫浴槽は真湯。
【施設】 駅より南東700mでロープウェイより北東500mに位置する、土日は非常に混む公共の宿(53室)。「銀の湯」近くにある。ガラス越しに木々の緑が眺められる洋風石造り中浴場が2つあるが、露天風呂はない。入浴者数の割には狭い感じがする。P50台(土日は常に数台以上が待たされている)。
【評価】 ★★☆☆☆(2003.3)肩は凝らないが、入浴客が多すぎて待たされることがあり、あまり落ち着けない。
中国道 ⇒ 西宮北IC ⇒ R176 ⇒ 県道を南 ⇒ 有馬温泉(太閤橋)